
(c)宇井眞紀子
12月19日、東京・神保町にミニシアター「シネマリス」が開館する。近年、映画館の閉館が続き、当地にあってミニシアターの先駆けだった岩波ホールも閉じて久しい。どんな決心でミニシアターを始めようとしたのか。支配人の稲田良子さんに会った。
「大学卒業後ずっと法律事務所で秘書をしていました。コロナ禍を経て、また後輩も育ってきて、このまま仕事を続けていくのかと振り返ったとき、去年と同じように来年も過ごしていたら、あっという間におばあさんになってしまう(笑)。なにかチャレンジしたいという気持ちが高まって。十何年か前に何の気なしに『映画配給ワークショップ』を受講していたことを思い出しました」と稲田さん。
天井が高いことが条件で物件を探し、紹介されたのが神保町だった。地域にはこだわりはなかったと言うが、神保町は書店と大学の街で、文化の香りがすることも決め手になった。
「私もミニシアターの良さを知る世代です。仕事帰りにたくさんの映画を見てきました。多くの人に、映画館という非日常の場で映画を味わってほしいと思いました」
神保町の大通りから少し入ったガラス張りの建物の地下。中央に大きな円形の筒のような吹き抜けがある。ぐるりとカーブした壁伝いに地下に降りる階段が、非日常へ誘ってくれる。元はサブカル系の書店だったというスペースを大きく改装して、スクリーンとカフェスペースをつくった。
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