(c)宇井眞紀子
5月8日、国会議員会館内で、134もの大学や短大・専門学校等の高等教育機関の学生らが、相次ぐ学費値上げを阻止し、高等教育の無償化を求める集会を開催し、文科省等省庁や各政党に要請書を手渡した(詳細2面)。 多くの学生が高学費と値上げ、生活苦に喘ぎ、「学ぶ権利」が侵害されていると訴える中、お茶の水女子大学大学院博士課程1年の唐井梓さんも力強くスピーチした。 「この問題への関心を呼び起こしていく私たちの試みは、大学に通っていない人にも通ずる、『公的なお金』の使い方の是正と、市民の権利と自由の保障につながっていることを再度強調したいです。学費値上げ反対のアクションは、様々な社会の不公正と解決策を同じくしています」
唐井さんが通う大学では、学費値上げの予定は今のところない。しかし物価高騰の中、日本学術振興会の特別研究員制度で得られる手取り16万~ 18万円の生活費と、同制度で認められた2つの学内バイトだけでは生活が苦しい。それでも研究員採用率は11%と低く、「運がいい」ほうなのだ。
「仲間が経済的理由でどんどん研究の道を諦めていくので孤独を感じました。就職した人も、自分がやってきた研究の信念とはそぐわない企業に内定をもらっても、700万円もの貸与型奨学金の借金を背負っているから行かざるをえない。運良く研究を続けられても、ポストも少なくて将来が見えず、私も含めてメンタルを病む人が多いんです。そしてそもそも『女が研究者になるなんて』という偏見で研究の道を諦める友人もいました」 研究することに対して、「金を貯めてからやれ」「好きなことをしているくせに金がないなんて言うな」という言葉を投げつけられる。しかし唐井さんは言う。「研究は、社会に生きる人々の困難に立ち向かおうと、自らの生を賭けて闘う抵抗の営み。それは必ず社会に生きる人々に還元されるものです」と。
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