入学基準は、より生活困難な若者

ベトナム中部・ダナンの「サイゴンツーランホテル」に、ふぇみんが支援する児童養護施設「希望の村」の卒業生2人が一昨年から、客室係として就職している。2人ともすっかり洗練され、英語を使いながらの接客マナーも板についている。ホテルが「希望の村」の卒業生を採用したのは初めてとのこと。
2人の卒業生がハノイの「ホアスア職業訓練校」で学んだと聞き、ここまで育ててくれた職業訓練校をぜひ訪問したいと思った。「百聞は一見に如かず」。 立ち上げた時から校長職にあるヴィさんに話を聞いた。
「私は数学の教師でしたが、1993年に定年退職しました。以前から、親のない生活困難な若者や、ストリートチルドレンが、地縁血縁のつながりが濃いベトナム社会に放り出されたら、どのように生活するのだろう?と気がかりでした。教職仲間や友人の医者など同じ考えの女性6人と話し合い、職業訓練の学校をつくろうと意見が一致しました。お金があまりないので経費のかからない、卒業したらすぐ仕事を見つけられる学校がいいと思いました。たくさんの女性たちが道端で食べ物を売ったりしているでしょう? その人たちは訓練がなくてもそれで生活している。料理の学校がいいのでは?ということになりました」。
ベトナムでは生活困難な子どもたちは各省の公的支援の養護施設に、または民間の支援組織(例・「希望の村」)に入所できれば生活は保障される。基本的には中学卒業までだが、高校卒業までという施設もある。
ヴィさんたちは1年間、各地の若者の実態を調査し、94年ホアスア職業訓練校を開校した。
「始めた時の生徒はたった20人でした。私たちは家で使っているもの、出せるものを持ち寄り、ささやかな出発でした」
そのホアスアが今は、年間450人の生徒を世に送り出し(15年間に4000人)、さらに実習のためのレストランとカフェをハノイ市内に4カ所、刺繍品・洋服を売る店を1軒、ベッドメーキング実習のための部屋10室と、聴覚障がい者のための縫製・刺繍の作業場を持つまでになった。
すばらしい事業内容をヴィさんは柔和な笑顔と落ち着いた物腰で淡々と語る。生活に密着した職業選択の着目と、その広がりに、すごいなと感心した。
この15年間、学校の手がける業種、卒業した若者の技術習得の確かさなどの評判を聞いた海外のNGOやボランティアから、それぞれ関心のある分野での支援の申し込みがたくさんある。卒業生に対する求人は多く、企業の要請に応じきれないこともあるほどに発展している。
ハウスキーピング(6カ月)、製パン・製菓(8カ月)、調理・レストランサービス(1年、洋食コース・ベトナム料理・本格的なフランス菓子)、マネジメント(2年)、聴覚障がい者のためのコース(2年、縫製と刺繍)があり、各コースの授業を見学した。 校内は清潔で、しゃれた雰囲気があり、勉強している若者たちの目はキラキラしていた。実習生たちが作った給食のお皿を囲んで、談笑しながらの食事風景もすごく楽しそう。
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