お勉強より課題解決、徹底して実利

女性たちの期待を担って女性センターが各地に建ってから二十数年。今の男女共同参画センターの使命とは何なのだろう。 昨年開館20年を迎えた横浜市の男女共同参画センターの桜井陽子さんに会いに行った。
横浜市の戸塚駅から歩いて7分。男女共同参画センター横浜(女性フォーラム)がある。
桜井さんはこのほか横浜南、横浜北の3館の男女共同参画センターを運営する(財)横浜市男女共同参画推進協会の理事で統括本部長。肩書きとは違い桜井さんの人生はラディカルだ。
学生結婚して子どもが生まれたのが23歳の時。夫は大学院生だった。出産後も仕事を続けようとがんばったが、保育園に入れない。結局復帰後1カ月で泣く泣く仕事を辞めた。
「職安に行くでしょ、そうするとそんな小さい子を置いて働くのか、っていわれるの」
「ニューファミリー」全盛期で専業主婦率が高かった団塊世代。再就職の苦労はフルコースで味わった。自分が苦労したから、「財団法人再就職協会」をつくりたいなと思った。そこで生命保険会社など主婦を多く雇っている企業から寄付をもらい、新宿で2日間の「働きたい主婦のための再就職講座」を開いた。
「その辺が私、起業家だと思うのよね」と笑う。再就職の桜井陽子≠ニいわれた。小さな編集プロダクションをつくった。
横浜市の女性フォーラムができる1年前に就職。"民"から官≠ナ働く立場となった。
横浜女性フォーラムは、初めから課題解決型の事業を行ってきた。啓発は苦手という。
「徹底して実利なの」
女性フォーラムの「再就職準備講座 ルトラヴァイエ」も実践的な内容で、ここの修了者は様々な場に巣立った。
DV被害者支援も相談事業にとどまらず、マイクロソフト社からの助成を得て、就業支援のためのパソコン講座を開くなど、実践的だ。
「その講座のソフトが全国女性会館協議会に加盟する30以上の女性センターで使われて、各地で企業との協働が広がった」
DV被害者やシングルマザーなど、経済的、社会的に困難な状況にあればあるほど、講座、心のケア、アサーション、個別相談、グループ相談、本の情報など、その人の状況に応じた様々な支援が必要になる。
「総合的な、しかも有機的につながった支援が必要だし、それができるのが女性センター」。横浜の男女共同参画センターは「しごと、生き方、こころとからだ、暮らし、アート」の柱で事業が総合的に行われている。
尿失禁を予防するための骨盤底筋体操を取り入れたのも最初。乳がんの手術後の心理面もケアした健康教室には、病院の医師からも紹介されて来る。
2003年5月1日、ブッシュ大統領が「大規模戦闘終結宣言」を出した日にイラクに初めて入り、医療品運搬や学校の再建、ストリートチルドレンの自立支援を行った。紛争地で、心の言語も用いて、イラク人の話を聞き、自分の気持ちもまっすぐに表現し、支援に巻き込んでいった。自由で幸せだった。
しかし4回目のイラク入りとなった04年4月、ファルージャ近郊で抵抗勢力に拘束された。日本では「人質」に対して「自己責任」をかざしたバッシングの嵐が吹き荒れた。解放後、心身ともに追いつめられた。
それでもイラクや全国からの励ましを背に、同年8月にはイラク支援を再開。「崩れ落ちる自分をせき止める」ためだった。でも「前のようにまっすぐに人を愛せなくなった」。
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