2人やから、やれたと思う

少子化対策と虐待防止が国の重要課題とされ、多彩な子育て支援メニューが厚生労働省から提案されている。しかしながら、現代の母親が置かれている状況は、かつてないほどに過酷なものになっている。密室で孤独な子育てを強いられ、子どもの安全は母親の責任と言われ、3歳児神話はどんなに否定してもむしろ強化されている。こんな時代にあって、母親が子育ての悩みを心置きなく聴いてもらえる場が「子・己育ち相談リリーフ」。大阪府吹田市の駅前にある文化住宅の一室、リリーフ・ルームを訪ねた。
「子・己育ち相談リリーフ」は、小谷訓子さんと山本瑛子さんの2人が主宰しており、個人相談のほかに、気軽に集える企画をいくつも開催している。
「2人の出会いは1990年ごろ。今の男女共同参画センターで女性学の入門講座があってね、人生後半の生き方を探してたんやね。もうこれからは、自分のために、自分の時間を使って生きようと思ったの。講座の後に自主的に企画や運営、冊子づくりなんかをして、もう一度学びをしたのね」と山本さん。「私が2回目の受講のときに出会ったんやね。価値観や感じ方が似てて、何となく周波数が合ったんかなぁ」と小谷さん。
2人とも、生きづらいのは個人的な問題だと思っていたが、実はジェンダーの縛りからくる社会的な問題であると気づき、すっかり心がほどけたと言う。ちょうどそのころ、2人が住んでいる吹田市で、若い母親が赤ちゃんをベランダから投げ落とすという事件があった。身近なところで、そんなに悩んでいた人がいた、自分たちができることもあったのではないか、そんな思いで胸が締め付けられた。その思いがリリーフという形になった。93年のことである。
「行政や専門家としてではなく、同じ市民として、悩んでいる人と横並びの位置で一緒に付き合える場が必要だと思ったの」(小谷)。そこで、行政や公民館、福祉会館などに「場所を貸してほしい」と直談判。ところが、どこへ行ってもことごとく断られた。
「結局、吹田市の一番端っこまでいって、そこでやっと話を聞いてくれる公民館の館長さんがいたの。子育てが、個人的なものになってはいかん、家庭の中に押し込まれていたらあかん、そういう考えを分かってくれた。そこで『子育て井戸端会議』がスタートしました」(山)
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