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木も虫も人も大切に考える植木屋
那須 圭子さん
 
聞き手鈴木 京子
撮 影常見 藤代
庭は地球全体の小さな緑
 「うちに来る植木屋さんに若い女の職人がいるのよ。もう4、5年になるかな。がんばってるわよ、彼女」。埼玉県で一人暮らしをする友人が、誇らしげに教えてくれた。女の職業としての「植木屋」を知りたくて、小川さんに会った。
 公園や自然の中を歩くのが好きだった小川さんは「もっとそういうものに近づいてみよう」と、大学の造園科に進学。4年のとき、立ち読みしていた雑誌で、現在の親方を知る。卒業後の進路を決めかねていた小川さんは、仕事内容や考え方を聞きたくて、親方に会いに行った。
 親方は依頼主とのコミュニケーションを大切にしていて、下請け仕事はしないという方針だった。また、庭はもちろん、依頼主が庭に対してどんな考えを持っている人なのかに興味があるとも話してくれた。「造園をやるならそういう働き方がしたい」と思ったが、そのとき親方は人を雇う予定はなかった。
 大学の学科では学生の男女比は半々だが、卒業後、造園の現場で働く女性は極端に少なくなる。大半は造園以外、造園関係でも事務や設計、管理などの仕事に就いていく。小川さんが内定をもらった京都の造園会社も、事務や店舗管理などを期待していた。「それもちょっと違うな」と思っていたところに、仕事が忙しくなったから来てほしいと、あの親方から誘われた。迷いはなかった。
 「男のほうが現場では使えるという先入観があるんです。でも、うちの親方にはそれがなかった。もちろん、肉体的に劣る部分はありますが、そこは助けてもらいながら、自分のできる部分で精いっぱいがんばる。5年働いてみて、会社が敬遠するほど、女性には難しい仕事だとは思いません」


 「植木屋」小川さんの仕事は、だいたい朝の8時から夕方5時くらいの陽のあるうち。雨でも働く。事務所はないので、だいたいが現場集合。ひと月先まで現場が決まっているときもあれば、翌日の予定がわからない日もある。剪定の仕事が一番多いが、レンガや石を敷いたり垣根をつくったりの庭づくり、デザインや設計、見積書を書いたりの事務仕事、営業のためにチラシのポスティングもする。月8日の休みがあって、年収は300万円を少し超える程度。
 ギックリ腰になるほどの重労働や、暑さ寒さの自然の厳しさは身にしみるが、一仕事終えて味わう心地良い疲労感と充実感は、「明日もまたがんばれる」と思わせてくれる。
 「たいへんだと思ったり楽しいと思ったり、ずっとその繰り返しです。ただ、少しずつ、楽しいと思える割合が増えてきた。これが一生の仕事だと思い込んでやっているわけではありませんが、この5年間もそうだったように、何となく波がありながら、これからも続くかもしれないし、続かないかもしれないし」
 気負いなく話す小川さんの言葉には、自分の職業に誠実に向かい合っている人間の、正直さと強さがあった。



続きは本紙で・・・

おがわ ゆうこ
 1979年、埼玉県生まれ。東京農業大学造園科学科卒。草原や高山の植物を見たくてネパールや中国雲南省に旅行した。最近、休日に陶芸教室へ通い始めた。東京都東村山市のアルテ造園に勤務。TEL042(392)8674

「ごめんください」とは、ふぇみん1面のインタビュー記事です
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