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ティナラク織を通して自然との共生を模索
森田 奈美さん
聞き手栗原 順子
撮 影宇井眞紀子
私は奪う側なのだと突きつけられます
 夢のお告げを織り込んでいるといわれるティナラク織。初めて見た日、神秘的な模様や生命の息吹が感じられるような不思議な力強さに魅せられた。
 ティナラク織はフィリピンのミンダナオ島に暮らす先住民族、ティボリの女性たちに受け継がれている伝統織物。森田さんは、年に数カ月現地に暮らし、イベントなどでティナラクの布や小物などを展示販売し、利益は直接生産者に渡すフェアトレードの活動をしている。
 ティナラク織は、アバカ(芭蕉)の繊維を結わえた糸で織られる。長い糸玉をつくり、草木で染め、地機で織り、貝でなめすまでに約3カ月かかる。全工程をひとりの人が手掛ける織物は世界でも珍しい。


 森田さんがティナラク織に出合ったのは1995年の夏。ティボリの子ども教育支援をするグループのツアーで、ミンダナオ島ヘ行き、村を訪ねた。ティナラクを織る女性たちに出会い、自然とともに暮らす人々に感動し「ここで暮らさなきゃ」という思いがわき上がった。
 「バイトして貧乏旅をして…の繰り返しに、このままでいいのかな?と…。何かに飛び込んでいかないとダメになると焦っていました」
 1年間バイトをしてためたお金を渡航費にあて、ひとりで島に渡った。半年のつもりの滞在は2年8カ月にも及んだ。
 「半年は生活に慣れるのがやっとだったんです。不便な生活って、こんなにも時間がかかるなんて…午前中いっぱいかけて水汲みしたり(笑)」
 電気も水道もない自然の中で生活し、地に足が着いた自分の生命力を実感した。その一方で、フィリピンと日本のアンフェアな状況を思い知らされた。
 

 ミンダナオ島は70年代に始まった伐採、移住者の開墾・焼き畑などで、9割の森が壊され、現在5割以上の平地は、アメリカ、日本をはじめとする外国企業のものになっている。
 「島に行くと、ドール≠竍デルモンテ≠ネどの多国籍企業のパイナップル、バナナなどの農園が地平線の彼方まで見えます。他国に安価で輸出される食物のために、先住民が土地を追われ、労働者が安い賃金で働かされている。現地に行くたびに自分が奪う側から来ているのだと突きつけられます」
 日本で「ミンダナオ島のイスラム系ゲリラ事件」として報道されていることも、現地の平和活動家の言葉を借りれば、「資本家に対する住民の抵抗運動」という側面もあるという。
 「ODAの名の下、日本は島に輸出用マグロの漁港を建設しましたが、漁民の家はつぶされ、魚は根こそぎ獲られています」
 ティナラク織はすべて天然素材で、織り上がるのに長い時間がかかる。それも自然を取り尽くさない「持続可能」の象徴と感じ、織物を通して、環境保全を訴える。伝統継承にもなる一石三鳥の活動だ。


続きは本紙で・・・

もりた なみ
 1971年生まれ。ティナラク織の会「カフティ」主宰。日本とフィリピンとを行き来しながら、環境保全、南北問題、女性の生き方にかかわる活動を行っている。 「カフティ」TEL/FAX 0466-24-1007 http://kafti.michikusa.jp/
植林募金受付中。横浜銀行藤沢中央支店 普通1596774モリタナミ

「ごめんください」とは、ふぇみん1面のインタビュー記事です
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