加害者と被害者の心をつなげたい。

あの戦争のことを、もっと知りたい。そんな思いからさまざまな活動を始めた、若い人たちがいる。加害者と被害者…戦争体験者たちの間にいまも横たわる深い心の溝を、新しい時代を生きる自分たちが埋めたい、と願う。
ビデオメッセージという新しい手法で、国を越えて人々をつないでいる神直子さんも、そのひとりだ。
2000年2月、大学のゼミで訪れたフィリピン。そこで神さんは戦争被害者に出迎えられた。日本軍に家族や親戚を次々に殺された人たちだった。
「それまでは『私たち世代は関係ない』と思っていました。でも、アジアでは自分が日本人であることから、逃れられないですよね」
新婚の夫を日本軍に連行され、亡くしたバーバラさんは、顔をこわばらせて怒鳴った。「日本人なんて見たくなかったのに! なんで来たんだい?」。若者たちに、返す言葉はなかった。
体験していない戦争。それだけに神さんはありったけの想像力を働かせる。
「同じように愛する人を亡くした日本人女性もいるはず。どんな戦後を生きているんだろう…」
婚約者がフィリピンで致命傷を負い、洞窟に置き去りにされた日本人女性の存在を知る。別の人と結婚し、子どもも授かったが婚約者を忘れられず離婚してしまったという。あふれ出る悲しみをビデオに収め、フィリピンでバーバラさんに見せた。
「日本にも戦争で夫を亡くした人がいるの?と彼女は驚きました。ビデオで長年の恨みや悲しみが消えるとは思えないけれど、加害の側にも苦しんでいる人がいることを知ってもらえたら…」
続きは本紙で・・・