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個人の目で、教育基本法を読み解いた
伊藤 美好さん
聞き手室田 元美
撮 影落合由利子
聞きあうことから始めたい
 絵とやさしい言葉で教育基本法を読み解く『11の約束 えほん教育基本法』を、2005年、翻訳家の池田香代子さんと上梓した、伊藤美好さん。教育の専門家ではないという伊藤さんだが、どんな思いでこの本を作ったのだろうか。
 「たった11条と短いのだから、教育基本法改正に賛成の人も反対の人も、まず読んでみませんかという気持ちで作りました。中身を知らないで賛成や反対はできないと思ったから」

 
 「教育基本法を初めて読んだときにうれしかったのは、前文の『われらは、個人の尊厳を重んじ』という言葉です。ひとりひとりが違っていて、しかもみんなかけがえのない存在であること、さらに人と人とのつながりで生かされ、育つ存在だということを中心に据えているところですね」
 しかし大切な理念も、浸透する前に変えられてしまった。
 伊藤さんは個人の尊厳について、自分の体験を通して語ってくれた。
 「人はみんな違うということを子どものころから強く感じていました。どこがどう違うのか、その違いはどこからきたのかに、すごく興味があって。父は色覚障がいがあり、赤と緑が無彩色に見える人。でも視力は2・0。母は色には人一倍敏感だけど、ひどい近視です。家族で同じものを見てきれいねと言っていても、見え方がまるで違うのがとても面白かった」
 結婚して3人の子どもの母に。子どもたちはお腹の中にいるときからそれぞれ違っていた。おろおろ、はらはらしながらその違いを楽しんだり、びっくりしながら見てきた。
 「子どもの人生は子ども自身のものでしょ。親であっても最終的な責任は肩代わりできない。それに周囲から見れば困るようなことをしても、よく聞いてみると子どもなりに切実なわけがあるのかもしれないし」
 十数年前、子どもたちが不登校になったときも、おとなの都合で判断したりせず、子どもたちが自分で育っていくのを見守っていこうと思った。
 「当時はそれが病気だとか、治さなきゃと言われていて、すごく腹が立った。登校拒否の親の集まりに出かけたこともあるのですが、そこでも社会のものさしに子どもをあてはめて悩む人たちの話に、混乱してわけがわからなくなってしまった」
 そんなとき、就学義務のないデンマークのことを知人から知らされる。7歳から9年間の義務教育が定められているが、どんな場でどんな教育をするかは親が決め、ホームスクーリングをする権利も保障されていると聞いた。
 「デンマークではどんなふうに子どもが育ってるのかな、見てみたいと興味を持ったんです」


続きは本紙で・・・

いとう みよし
 1956年、名古屋市生まれ。95〜97年までデンマークに留学した滞在記を『パンケーキの国で−子どもたちと見たデンマーク』(平凡社)として出版。著書に『11の約束 えほん教育基本法』(ほるぷ出版・共著)、『笑う不登校』(教育史料出版会・共著)、共訳書に『いま、イラクを生きる』(アートン)など。

「ごめんください」とは、ふぇみん1面のインタビュー記事です
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