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ふぇみんの書評

韓国で起きたこと、日本で起きるかもしれないこと 日本人が目撃した韓国市民革命

高木望 編著

    韓国で起きたこと、日本で起きるかもしれないこと 日本人が目撃した韓国市民革命
  • 高木望 編著
  • 彩流社1600円
 韓国の「キャンドル革命」の高揚には目を見張った。昨年から今年にかけて、政治腐敗した朴槿恵・前大統領の退陣と弾劾を求め、夕刻から人々が、ソウルの光化門広場や大統領官邸を目指し、ソウル市では最大170万人、全国では230万人もが集まった。ソウル在住の編著者は、この歴史的な場に立ち会い、20回を超す大集会の意思を背景に大統領が弾劾され、新大統領が決まるまでを日誌のように綴り、参加者に話を聞いている。彼はまた1987年の「6月民主抗争」も目撃しており、その相違も語る。  権力者ばかりが得をして“もう黙っていられない”と声を上げた人々は、高揚するがデモは安全第一、非暴力に徹した。読みながらため息をつき、韓国にあって、日本にないものは何かと自問した。主権者としての自覚か、怒りの大きさか…。語られる場面を噛みしめつつ、憲法や未来のために問い続けたい。(三)

未来にツケを残さない フードバンクの新しい挑戦

糸山智栄、石坂薫、原田佳子、増井祥子 著

  • 未来にツケを残さない フードバンクの新しい挑戦
  • 糸山智栄、石坂薫、原田佳子、増井祥子 著
  • 高文研1700円
「フードバンク」とは企業や農家などから寄付される、安全だが事情があり廃棄される食品を、必要とする人や団体へ無償で分配する取り組みである。本書では、岡山と広島のフードバンクのメンバーが、設立の経緯、活動の現状を紹介。さらにフードバンクの活動を取り巻く食品ロスの増加、食品を提供する先の子どもの食育や貧困、高齢者の食の実態などについて触れ「フードバンクの活動が存在し活動が大きくなってきていること自体、今の社会の仕組みに問題がある」と指摘する。  読み進むうちに、フードバンクはもったいない食品が有効に活用される素晴らしい活動だ、という単純なものではなく、国内の、容易には解決できない社会問題もはらむことが浮かび上がる。苦労せずに食料が手に入る今の時代、フードバンクの役割とそれを取り巻く問題を世間に認知させ、真の「もったいない」が浸透するには、今後も様々な挑戦が必要であろうと思いを馳せた。(タ)

種子が消えれば あなたも消える

西川芳明 著

  • 種子が消えれば あなたも消える
  • 西川芳明 著
  • コモンズ1800円
2017年4月「主要農作物種子法(以下、種子法)を廃止する法律案」が可決された。本書では種子法廃止による影響を歴史を踏まえて考察し、今後の農業を考える。  戦後に成立した種子法は、主要農産物の種子を国の責任で供給する目的を持つ一方で、地域の農家と行政・国が連携し種子を供給・調達できる機会を担保していた。同法廃止により、道府県の種子事業の継続問題だけでなく、外資系企業の参入や寡占化などによって種子システムの多様性が奪われることが懸念される。  経済効率性に偏り、少ない品種だけを世界中に流通させる方法は持続可能とはいえない。小規模ながらも土地に根づき様々な作物を育ててきた農家の営みは、気候や病害虫のリスク分散だけでなく、地域コミュニティーや土地の文化をつくってきたのだ。種子は生命の源であり人間の尊厳であることを念頭に、持続可能なシステムの可能性について今一度考えていきたい。(梅)
【 新聞代 】(送料込み)
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 6カ月4,500円、1年9,000円
【 振込先 】
 郵便振替:00180-6-196455
 加入者名:婦人民主クラブ
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