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ふぇみんの書評

徹底検証 日本の右傾化

塚田穂高 編著

  • 徹底検証 日本の右傾化
  • 塚田穂高 編著
  • 筑摩書房1800円
日本の右傾化は漠然と感じているが、実際に何がどこまで進んでいるのか?。ジャーナリストや研究者など総勢21人の専門家が、多方面から全貌を検証した。話題はレイシズム、ヘイトスピーチから、自民党の変遷、教育、家族や女性、家族主義の税制、草の根右派、言論と報道、創価学会・公明党や日本会議、神道政治連盟などの宗教まで、多岐にわたる。  膨大な事実の積み上げで分かるのは、それぞれの領域での右傾化が、早くは1990年代から、時に関係し、時に無関係に折り重なるように進展していることだ。しかし、有権者の調査では右傾化が進んでいるとはいえず、自民党の右傾化も派閥の攻防によるもので歴史はまだ浅い。とすると、今、私たちがヘイトや差別に徹底的にNOと言い、どんな異論を持つ他者でも対話をすれば、もしかしたら抗えるかもしれないと思えた。  ブックガイドや年表付きで、日本の右傾化を考える網羅的な最良書。(登)

嵐を呼ぶ少女とよばれて 市民運動という生きかた

菱山南帆子 著

  • 嵐を呼ぶ少女とよばれて 市民運動という生きかた
  • 菱山南帆子 著
  • 発行 はるか書房 発売 星雲社1600円
安倍政権の安保法制や改憲に反対する「総がかり行動」で活動する著者の自伝。動物たちと共に暮らし、幼い頃に八王子の圏央道建設反対行動に母と参加したときから、著者の市民運動人生は始まる。小学校時代は先生の差別発言に憤り、学校でたった一人、君が代斉唱を拒否。中学ではイラク戦争に反対する活動に邁進した。  そんな著者も一度は運動から離れた。自身が先鋭化し過ぎて立ちゆかなくなったのだ。大学時代、アパレル関係のアルバイトなどをして過ごし、資本主義社会の厳しさや、現実を知る。  運動の場に戻ってからは、仲間との連帯や、より楽しく持続可能な運動を大切にする。周りには、運動の大先輩もいれば、同年代の友人も顔を出す。  著者の視点は、生きづらさに苦しむ若者の生活や、障がい者施設での経験にも根ざしている。弱肉強食に決別し、未来を取り戻そうと呼びかけるその声は本当に清々しい。本書を読み終えたら、ぜひ「総がかり行動」へ行こう。(梅)

沖縄思想のラディックス

仲宗根勇、仲里効 編

  • 沖縄思想のラディックス
  • 仲宗根勇、仲里効 編
 本書は沖縄生まれの6人が、沖縄の政治、歴史、思想、文化の諸問題を論じたものである。現在、辺野古新基地建設、高江オスプレイパッド建設、八重山への自衛隊配備増強など、沖縄では日米共同の軍事的要塞化が民意を無視して進められている。政府が警察や海上保安庁を動員して政策を強行する。国家暴力、非暴力で抵抗する人々、沖縄に対するヘイトスピーチとそれを擁護する公人たちなど、具体例を挙げ、沖縄をめぐる問題を多面的に論じている。沖縄の抵抗史やさまざまな現況をアートや映画で表現する沖縄の芸術家たちの話も興味深い。  各々が持論を展開するが、どの論者からも感じるのは沖縄と「本土」との乖離だ。米軍基地問題を「(あっちの)沖縄問題」に矮小化する「本土」。「本土」の人間が「加害側ヤマトンチュ」でいることをやめなければ、この暴力的植民地構造は終わらないのではないか。本書は日本の欺瞞的植民地構造を我々に鋭く突きつける。(よ)
【 新聞代 】(送料込み)
 1カ月750円、3カ月2,250円
 6カ月4,500円、1年9,000円
【 振込先 】
 郵便振替:00180-6-196455
 加入者名:婦人民主クラブ
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