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ふぇみんの書評

対米従属の謎 どうしたら自立できるか

松竹伸幸 著

  • 対米従属の謎 どうしたら自立できるか
  • 松竹伸幸 著
  • 平凡社800円
ジャーナリストで「自衛隊を活かす会」事務局長でもある著者が、「対米従属」といわれる日米関係が続く理由を、ドイツ・欧州・NATOと米国の関係を比較しつつ探る。  出発点は、米国による単独占領にあった。復権した政治家たちは公職追放を怖れ、米国に忠誠を誓う従属の原型が作られる。独立後も、旧安保条約下、米軍の許可されていない行為にも日本政府の黙認が「慣行」となり、新安保条約下にも密約によって受け継がれ、従属の度合いは深まった。  1960年代末に出来上がった「日本型核抑止力依存政策」は日米政府が一緒に作り出したもので、保守政権の永続化と一体化する。経済交渉ですら「日米同盟関係の存在」が決定的な判断基準になったのだ。  これまでの抑止力議論に代わる防衛政策をどうするか、野党の徹底的な議論が必要と著者は言う。現在の政策の堅持は国民にも責任があり、反省の上に新たな防衛政策を考えるべきだとも。真剣な議論のために手にとりたい。(ね)

働き女子@台湾 日本統治期の水脈

蔡蕙頻 著 日野みどり 訳

  • 働き女子@台湾 日本統治期の水脈
  • 蔡蕙頻 著 日野みどり 訳
  • 凱風社2200円
 日本の台湾統治(1895~1945年)は、言うまでもなく理不尽な歴史だが、同時に、総督府により教育や医療、交通などの整備が開始され、その結果、家事や農業などの労働力のみならず、バスの車掌、教員、電話交換手、看護婦などさまざまな職場に台湾人女性の力が不可欠となった。本書では植民地支配や男女差別などに忍従しつつ懸命に働く「働き女子」の悲喜こもごもを、時代背景や詳細なデータとともに描く。  ささやかな娯楽にいそしみ、時には家計を支えた彼女たちの多くは、名もなき存在として歴史の中に埋もれていった。著者はそんな彼女らの姿をそっとすくい上げる。だが中には戦後、政界進出を果たした働き女子も現れた。昨年、台湾初の女性総統となった蔡英文の登場は、水脈から表出した働き女子たちのたゆまぬ努力の結果かもしれない。働き女子たちのその後がさらに詳しく描かれればより興味深かったが、1世紀近く前の物語ゆえ、贅沢な願いだろうか。(タ)

AV出演を強要された彼女たち

宮本節子 著

  • AV出演を強要された彼女たち
  • 宮本節子 著
  • 筑摩書房800円
 AVプロダクションが2015年、出演拒否をした女性に損害賠償請求し棄却された事件以来、一気に広まった「AV出演強要」について、支援事例を交え伝える書。  本書はAVすべての是非を問うものではない。だが著者は、AV現場で少なからぬ女性が性暴力被害に遭っていること、それが「契約上の合意」として容認され、「作品」として合法的に流通することを、支援を通して知り、問題提起している。また、スカウトからDVD発売、ネット配信に至る巨大なAV産業の構図も明らかにする。 金銭授受や、そもそもスカウトに応じたことを「自業自得」と考えてしまう女性も多い。社会の側の、性暴力被害に遭った女性への差別が、深刻さをますます見えにくくさせている。  誰でもアクセス可能なネット動画の一部に、誰かが「消したい」と切に願う性暴力がある。自分は無関係といえるだろうか。  本書の売り上げは、被害者支援に使われるという。一読を。(梅)
【 新聞代 】(送料込み)
 1カ月750円、3カ月2,250円
 6カ月4,500円、1年9,000円
【 振込先 】
 郵便振替:00180-6-196455
 加入者名:婦人民主クラブ
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