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ふぇみんの書評

ヘイトスピーチはどこまで規制できるか

在日コリアン弁護士協会(LAZAK) 編

  • ヘイトスピーチはどこまで規制できるか
  • 在日コリアン弁護士協会(LAZAK) 編
  • 影書房1700円
  ヘイトスピーチの被害当事者であり、法律専門家の編者たちが2015年開催したシンポジウム「人種差別撲滅のために ヘイトスピーチはどこまで規制できるか」の記録。朝鮮近現代社会史研究者の板垣竜太さんは日本におけるレイシズムの歴史を、憲法学者の木村草太さんは、現行法での規制や新法の可能性を語った上で、編者たちと熱い議論を交わしている。  今年5月に「ヘイトスピーチ解消法」が成立したが、規制の取り組みはこれからだ。京都朝鮮学校襲撃事件判決の分析や、編者たちが作成した「ヘイトスピーチ事例の六分類・論点整理表」は、法的規制の議論に役立ちそうだ。  編者たちは「表現の自由」などを理由に法規制の議論がなかなか進まないことや、日本人と自分たちとのヘイトの受けとめ方の乖離に危機感を抱く。「本来、これはマジョリティである日本人の問題」だが「私たちが先頭に立つしかない」という編者の言葉を重くかみしめた。(よ)

世界マヌケ反乱の手引書 ふざけた場所の作り方

松本哉 著

  • 世界マヌケ反乱の手引書 ふざけた場所の作り方
  • 松本哉 著
  • 筑摩書房1300円
東京・高円寺にあるリサイクルショップ「素人の乱5号店」店主にして、著書『貧乏人の逆襲!』(2008年)や、「家賃をタダにしろデモ」「原発やめろデモ!!!!!」など奇抜なデモで知られる著者。格差と貧困、大量消費社会、監視社会…と無縁に、快適にサバイブできる世界を勝手に作る実践例集。  社会の価値観を放棄した著者ら「マヌケ」たちは、高円寺でバーやゲストハウスなどを運営するまでに。その方法は徹底的にDIY。SNSではなく、直接会って話して(飲んで)の仲間作り。人の縁で、店ができ、マヌケの溜まり場に。今や、著者の翻訳本で韓国、台湾、香港でマヌケたちが動きだし、互いを行き来。まさに「世界マヌケ反乱」。著者はさらに独自パスポート、通貨を持つ未来を描く…。  一見珍奇だが、新自由主義・軍事主義・国家主義を、ふざけながらも確実に瓦解させる。マヌケの中で女は飯炊きじゃないよね?と釘を刺しつつ、反乱を起こしたくなる。(登)

報道の自己規制 メディアを蝕む不都合な真実

上出義樹 著

  • 報道の自己規制 メディアを蝕む不都合な真実
  • 上出義樹 著
  • リベルタ出版2000円
3.11後、政府や東電の嘘を垂れ流し、「大本営発表」と批判されて信用を失った新聞やテレビ。忖度や「自己規制」が広がり、真の情報は遠のくばかりだ。元新聞記者で研究者の著者は、具体的な自己規制のモデルや新聞記者やテレビ局員への聞き取り調査のデータ等を示し、自己規制の解明を試みる。  記者らの回答は興味深い。正直な意見を答えたのかはわからないが、読売新聞のある記者は「非常時に社論(原発推進)もへったくれもない」、産経新聞の記者は「経済部記者は東電寄りすぎる」と答える。元朝日新聞記者の語る、記者(=従業員)とメディア組織(=企業)の関係を分析する記述も興味をそそられる。  この分析をどう読むか。メディアの復権は、自由と正義を追求する勇気の有無にかかっているのだが、私たちも真の情報を求める姿勢を示すことが大切だ。  「記者クラブ制度」「編集権」などメディア側の問題ももっと議論されるべきだろう。(た)
【 新聞代 】(送料込み)
 1カ月750円、3カ月2,250円
 6カ月4,500円、1年9,000円
【 振込先 】
 郵便振替:00180-6-196455
 加入者名:婦人民主クラブ
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