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ふぇみんの書評

女子力で読み解く基地神話 在京メディアが伝えない沖縄問題の深層

三上智恵、島洋子 著

  • 女子力で読み解く基地神話 在京メディアが伝えない沖縄問題の深層
  • 三上智恵、島洋子 著
  • かもがわ出版1600円
  『標的の村』『戦場ぬ止み』の映画監督・三上と、琉球新報政治部長の島。同世代で、子どもや家族を抱えながら、「政治や安保政策に強い」「男」の領域とされた沖縄の基地問題に20年以上向き合ってきた2人が、半生から基地問題の本質まで熱く対談した。  頻発する米兵による性犯罪。今年4月にも元海兵隊員に女性が殺害された。抗議の県民大会に集った女性たちと「風かたか(風よけ)になれなかった」と号泣した2人の思い。「オール沖縄」を可能にしたウチナーンチュの積年の苦しみと知恵、祈りや踊りや笑いが溢れる辺野古の座り込み現場、そして「賛成派もいる」「抑止力」「基地経済に依存」の〈神話〉を信じる本土メディアと人々の愚かしさ…。  怒りと涙にまみれて沖縄に向き合い続けた2人ならではの熱くほとばしる言葉が、神話を打ち砕き、沖縄が日本社会の「炭鉱のカナリヤ」役と警鐘を鳴らす。書名の「女子力」にはドン引きだが、沖縄に出合い直せる。(登)

沖縄を語る 1 次代への伝言

沖縄タイムス社 編

  • 沖縄を語る 1 次代への伝言
  • 沖縄タイムス社 編
  • 沖縄タイムス社1600円
  2013年末から続く、沖縄タイムスの連載「沖縄を語る」の単行本化。元県知事から歌手、スポーツ選手、政治家、役者…と多彩な20人が語り手。30代、40代の記者たちが、戦争体験や米軍基地への感情、人生の決断などを聞く。まさに「次代への伝言」だ。  当時保守系の那覇市長だった翁長雄志さん(現知事)は、13年1月のオスプレイ強行配備に抗議する東京行動の先頭に立った。記者は、葛藤はなかったかと問い、「どう政治からはじき飛ばされるかという恐怖感があった」という言葉を引き出す。稲嶺恵一元知事は、1999年、普天間基地の代替施設受け入れの決断をした頃、「毎晩、泡盛を酔いつぶれるまで飲んだ」。今、「辺野古に実現性はない」と語る。民謡歌手の島袋艶子さんは、オスプレイの夜間訓練に「防空演習を思い出した。こんなこと自体がおかしい」と話す。  それぞれの体験が胸に刺さる。この言葉をどう受け止めるのか、問われている。(三)

兵士のアイドル 幻の慰問雑誌に見るもうひとつの戦争

押田信子 著

  • 兵士のアイドル 幻の慰問雑誌に見るもうひとつの戦争
  • 押田信子 著
  • 旬報社2200円
 『戦線文庫』『陣中倶楽部』ほか、戦時の兵士慰問雑誌から時代背景を分析した書。国民の寄付等による「恤兵金」を基軸に軍部が行った文化動員で起用されたのは、原節子、田中絹代、高峰秀子ら「アイドル」たち。彼女たちは慰問文とともに華麗な衣装、水着などでグラビアを賑わせた。さらに時の女性作家も加わる。長谷川時雨を筆頭とする雑誌『輝ク』には、林芙美子や円地文子、社会主義運動などにもかかわっていた佐多稲子でさえもが慰問や執筆を行った。彼女たちが翼賛体制に荷担してしまったのはなぜか。そこには抗えない時代のうねりがある。「国中が、そうなった時代」と、佐多は戦時を振り返り、戦後は当時の自身と向き合っている。  女性の表象が巧みに利用され、戦争に組み込まれたことを考えると、娯楽や文化に隠された意味について、私たちはもっと注意深くならなければと思う。  貴重な当時の写真も満載で、資料的価値もある一冊。(梅)
【 新聞代 】(送料込み)
 1カ月750円、3カ月2,250円
 6カ月4,500円、1年9,000円
【 振込先 】
 郵便振替:00180-6-196455
 加入者名:婦人民主クラブ
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