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ふぇみんの書評

時代の正体2 語ることをあきらめない

神奈川新聞「時代の正体」取材班 編

  • 時代の正体2 語ることをあきらめない
  • 神奈川新聞「時代の正体」取材班 編
  • 現代思潮新社1600円
語ることをあきらめず、抗う人びとの姿を伝える連載に対し、「記事が偏っている」との批判が来るという。それには「ええ、偏っていますが、何か?」「権力批判が仕事ですから」と答える。民主主義を体現する存在でありたいとする姿勢に貫かれた神奈川新聞のシリーズが2冊目の本となった。  安保法案が通った後も、歩みを止めない、あきらめることなく進むことが「絶望の世代」の強さだと、SEALDsやT-ns SOWLのメンバーの言葉を紹介。「新しい戦前に抗う」章では、ヘイトスピーチと闘う地元神奈川県川崎・桜本からの報告もある。  ヒトラー政権が誕生したのは、法制度に加え、既存保守層も同じ方向を向いていたためだったとの指摘には、今、存在感を増す日本会議だけではなく、そこに社会や政治が吸い寄せられていることに注意を払うべきと気付かされる。  息苦しいと感じるこの時代、私たちは絶望せずに声をあげ続けることができるだろうか。(ね)

われらは愛と正義を否定する 脳性マヒ者 横田弘と「青い芝」

横田弘、立岩真也、臼井正樹 著

  • われらは愛と正義を否定する 脳性マヒ者 横田弘と「青い芝」
  • 横田弘、立岩真也、臼井正樹 著
  • 生活書院2200円
  障害当事者運動の源流には、1960年代末以降、神奈川県を中心に全国に広まった「青い芝の会」がある。その中心人物であった横田弘(2013年没)の足跡を、横田と社会学者の立岩の対談と、晩年の横田と親交のあった元神奈川県職員・臼井の論考によってたどる。  30歳近くまでほとんど自宅から出ず、読書にふけるだけだった重度障害者が、運動の主役になっていく経緯は実に劇的だ。  タイトルは、横田が独断で機関誌に載せた「行動綱領」の有名なフレーズだが(今でいうパターナリズムの否定)、彼が最もこだわったのは「綱領」の別の箇所。「本来あってはならない存在」とされていることを、障害者が自覚することの重要性だった(出生前診断による命の選別に反対する運動等)。  ときに「障害者のことが分かってない」といった態度の横田。寄り添いながらも当事者だけに議論を閉じさせまいとする臼井、立岩。彼らと対話を続けた横田。そんな関係性も本書の魅力だ。(道)

横須賀、基地の街を歩きつづけて 小さな運動はリヤカーとともに

新倉裕史 著

  • 横須賀、基地の街を歩きつづけて 小さな運動はリヤカーとともに
  • 新倉裕史 著
  • 七つ森書館1800円
神奈川県横須賀市で反基地運動を続けている「非核市民運動宣言・ヨコスカ」が、「志を高く持たない、対話を基本に」をモットーに歩んできたレポートである。  1972年の空母ミッドウェイ母港化反対から生まれた運動は、「よろずピースバンド」の歌と音響設備を乗せたリヤカーと共に40年間1回も休んだことのない月例デモ、海から自衛艦や米艦に呼びかける平和船団、自衛官市民ホットライン…と、多様な切り口で「基地のない街」への転換を模索する。  世界で唯一空母の海外母港・横須賀基地だが、市民の抵抗は敗戦翌年の農民による米軍住宅建設反対から始まった。否決されたものの、2度も取り組まれた原子力空母の是非を問う住民投票条例の直接請求は、市民が軍都横須賀を甘んじて受け入れていない証左だろう。安保拡大が先行する現場を前に、著者は「大変さより希望を語りたい」としてまとめる。あきらめずに「われらの民主主義」を実践していくための示唆に富む。(圭)
【 新聞代 】(送料込み)
 1カ月750円、3カ月2,250円
 6カ月4,500円、1年9,000円
【 振込先 】
 郵便振替:00180-6-196455
 加入者名:婦人民主クラブ
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