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ふぇみんの書評

安保法制の正体 「この道」で日本は平和になるのか

西日本新聞安保取材班 編

  • 安保法制の正体 「この道」で日本は平和になるのか
  • 西日本新聞安保取材班 編
  • 明石書店1600円
2014年10月から15年9月まで西日本新聞で連載された長期シリーズ「戦後70年 安全保障を考える」が一冊にまとまった。  欧米取材では、ドイツ兵のアフガニスタンでの経験やスペインの列車爆破テロ、米帰還兵の今を伝える。基地を押し付けられた沖縄からのルポ、また米国での共同戦闘訓練や南西諸島への配備など自衛隊も多面的に取材する。当然、戦争における報道のあり方も問う。  2014年初冬にはアフガニスタンに「ペシャワール会」の中村哲さんを訪ねる。戦火と飢餓に苦しんだ地で、中村さんらは緑の復興に成果を表し、「銃は何も生み出さない」と中村さんは言う。  個人でイラク支援を続ける高遠菜穂子さんは、中東では安保法制が「日本が海外で戦闘できる法」と紹介されたと言う一方、「武器を持たない活動で地元住民に理解され、私は9条に守られた」と語る。  「この道」しかないのか? 本書はさまざまな視点から、厳しく問い直す。(ね)

愛を言い訳にする人たち DV加害者男性700人の告白

山口のり子 著

  • 愛を言い訳にする人たち DV加害者男性700人の告白
  • 山口のり子 著
  • 梨の木舎1900円
 DVの加害者更正、日本はどう取り組んでいるのか。2002年に加害者向け教育プログラムを開始した団体「アウェア」で著者は、ちょっとやそっとではない時間を加害者更生にかけてきた。  加害者は変われるのか?という問いには、案の定、著者のプログラムでも変わる人は変わるし、変わらない人もいる、と。著者は変わりたいと思う人を受け入れると言っている。つまり変わるとしても自分が変わりたいと思っていることが前提だ。そしてDVの原動力はゆがんだ愛の価値観。「妻のため」「妻のせい」という屁理屈。でも紐解いていくと結局自分の特権を守るため。そこに気づくこと(アウェア)ができるかどうか。  著者が何回か強調しているのは、このプログラムは加害者のためではなく、被害者支援の一環だということ。どう変わったら同居に戻るか、変わろうが変わるまいが別れたいのか…、被害者の希望が第一。誰を中心に置くのか。大事なポイントだ。(隅) 

ほうしゃの雨はもういらない 原水禁署名運動と虚像の原子力平和利用

丸浜江里子 著

  • ほうしゃの雨はもういらない 原水禁署名運動と虚像の原子力平和利用/li>
  • 丸浜江里子 著
  • 凱風社1300円
  唯一の被爆国として核廃絶を訴える立場にあった日本の原発は、福島原発事故の収束の見通しもないまま、再稼働が進められている。なぜ原発をやめられないのか。  米ソが核開発に狂奔した1950年代、米政権は「原子力の平和利用」という欺瞞にみちた世界戦略を打ち出した。片面的な講和条約によって独立を回復した日本は以後、対米従属関係にとらわれ、原発導入へと進む。  しかし人々は傍観していたわけではない。東京・杉並で取り組まれた原水爆禁止署名運動の経験は全国へ、世界へと、今日の平和運動に継承されている。住民運動を研究する著者は、資料や当事者の証言を掘り起こし、歴史を振り返る。  将来の危険より今の生活が大事と言う人がいるが、未来が開かれているからこそ、人は今を生きることができる。原爆と原発の関係、日米同盟、未来への責任を負う私たちに示唆を与える良書。(た)
【 新聞代 】(送料込み)
 1カ月750円、3カ月2,250円
 6カ月4,500円、1年9,000円
【 振込先 】
 郵便振替:00180-6-196455
 加入者名:婦人民主クラブ
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