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ふぇみんの書評

さらば、ヘイト本! 嫌韓反中本ブームの裏側

大泉実成、梶田陽介、加藤直樹、木村元彦 著

  • さらば、ヘイト本! 嫌韓反中本ブームの裏側
  • 大泉実成、梶田陽介、加藤直樹、木村元彦 著
  • ころから900円
 先日、「在特会」のヘイトデモに出くわした。一時より参加者が減っているようだし、醜悪な文言のプラカードも少ない。けれど、相変わらずデタラメな差別デモで不快だった。「ヘイト本(嫌韓反中本)」の“ブーム”は終わっているという。しかし、今こそ「ヘイト本」の検証が必要と編まれたのが本書で、昨年話題になった『NOヘイト! 出版の製造者責任を考える』の第2弾といえる本だ。「ヘイト本」の編集者や出版社の社員への取材などを通し、「ヘイト本」がどのように量産されていったのかを明らかにする。  「保守層や韓国に批判的な読者が溜飲を下げる目的」と書かれた出版社の企画書。社会的責任などおかまいなしに「売れれば何でも」という浅薄な行為が与えた負の影響は大きい。「カネは稼げても誰が幸福になれただろうか?」という著者(木村)の言葉に同感だ。ヘイトデモは過激さを薄めながら残っている。憎悪を生みだすものをなくすためにも、ヘイトの検証は必要だ。(よ)

女装して、一年間暮らしてみました。

クリスチャン・ザイテル 著 長谷川圭 訳

  • 女装して、一年間暮らしてみました。
  • クリスチャン・ザイテル 著 長谷川圭 訳
  • サンマーク出版1600円
 著者はテレビや映画業界で成功したドイツ人男性。なぜ“女装して、暮らしてみた”のか。原題は「私の中の女」。  きっかけは、女性用ストッキングを履いたこと(寒さ対策)。これで男と女の壁を越え、行動と思考が広がっていく。どうやら著者はフェミニズムとは縁がなかったようだが、男らしさの不自然さ、窮屈さに気づく。そしてそれまで避けてきたフェミニズムも知って、内面も変化する。当然だろう。  人工乳房を手に入れ、毛を剃る。ハイヒールで友人とバーに行き、男の視線と女の視線に出会う。女子会に参加し、強姦被害にも遭う。そのたびに立ち止まって考える。女装して女と出会うことで女へのシンパシーが生まれた。女装は自分の殻をやぶる単なる手段だったのか。男性論は目新しくもないが、机上の空論ではないところには納得できる。でもたった1年で理解できるほど軽くはないはず。  本書は男に勧めたい。ほら、そこにいるマッチョなあなた!(原)

生きとし生ける空白の物語

李姜信子 著 屋敷妙子 絵

  • 生きとし生ける空白の物語
  • 李姜信子 著 屋敷妙子 絵
  • 港の人2200円
  作家・姜信子さんは旅の人である。これまで中央アジアの朝鮮人、沖縄から南洋やハワイへ移住した人、チェチェンからの難民となった人々など、「移民、難民、生きるために異郷へと旅立った人々の記憶を追いかけてきた」。今回は、「空白」=記憶の芯にある語りえぬものをたずねる旅。  1930年、朝鮮半島南部に生まれ、31年に母親とともに日本に渡った著者の父の「空白」を求めて、著者が記憶にないころに住んだ「カシワザキ」から旅は始まり、3・11後は、「植民地」としての東北に通い、北緯37度25分線上を福島から柏崎へと足を運ぶ。  後半は韓国・済州島への旅。多くの無辜の民が殺された1948年の4.3事件の記憶を、沖縄の「平和の礎」にも似た4.3記念公園の石の壁や、巡礼オルレの路にたどりながら、「人間に出会い、何度でも出会いなおし語りなおし繋がりなおす」旅に、私たちは同行する。  屋敷妙子さんの描く不思議な子どもたちの絵もステキだ。(ね)
【 新聞代 】(送料込み)
 1カ月750円、3カ月2,250円
 6カ月4,500円、1年9,000円
【 振込先 】
 郵便振替:00180-6-196455
 加入者名:婦人民主クラブ
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