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ふぇみんの書評

共通番号の危険な使われ方 マイナンバー制度の隠された本質を暴く

白石孝、石村耕治、水永誠二 著

  • 共通番号の危険な使われ方 マイナンバー制度の隠された本質を暴く
  • 白石孝、石村耕治、水永誠二 著
  • 発行=現代人文社 発売=大学図書1700円
 今年10月から、個人・法人に生涯不変の番号が通知され、来年1月から稼働する共通番号制。公正公平な税の負担と社会保障の実現を謳うが、果たして本当だろうか。  番号をキーに個人情報を一元管理する巨大情報ネットワークシステムは行政だけでなく民間にも利用されるという。そうなると情報流出やなりすまし事件の多発が大いに懸念される。また警察や公安機関への提供と利用が認められていることから、国民管理・監視のツールとなるという危険性も指摘されている。本書は番号制の問題点と政府の真の狙いを明らかにするために、「共通番号とは何か」から、日常生活に及ぼす影響を多角的に分析・解説している。「真に手を差し伸べるべき者」への制度のはずが、生存権まで脅かされる「きめ細やかな監視」という過酷な制度であることがわかる。  番号制に立ち向かう方策も示されている。(圭)

抵抗の拠点から 朝日新聞「慰安婦報道」の核心

青木理 著

  • 抵抗の拠点から 朝日新聞「慰安婦報道」の核心
  • 青木理 著
  • 講談社1400円
 2014年8月、朝日新聞は慰安婦問題をめぐる「吉田証言」を、9月には福島原発事故をめぐる「吉田調書」報道を取り消した。その後、ネット、主要雑誌や新聞、政府までもが一体となった朝日新聞への大バッシングの嵐が吹き荒れた。ジャーナリストの著者は、標的にされた元記者・植村隆さんや、元・主筆や現役の編集幹部に取材し、バッシングの正体に迫った。  朝日新聞にも「非」はある。しかし、本書が明らかにするのは、朝日の編集幹部たちも読めなかった、慰安婦報道を始めた90年代と明らかに違う社会の空気の変質。“戦後民主主義を体現する朝日”憎し、というような。だから著者は「戦後日本社会が歪んだ変質を遂げつつあるなかで起きた『歴史的事件』」と指摘する。吉田調書の他社へのリークも政府の影がちらつく。  編集元幹部の“朝日を批判する人たちに、戦前に何が起きたのか冷静に振り返ってほしい”との言葉。私たちは今とんでもない時代を生きていることは確かだ。(登)

鳥栖のつむぎ もうひとつの震災ユートピア

関礼子、廣本由香 編

  • 鳥栖のつむぎ もうひとつの震災ユートピア
  • 関礼子、廣本由香 編
  • 新泉社1800円
 福島第1原発事故後、佐賀県鳥栖市に子どもを連れて避難した6人の母親が、震災とその後を語る「物語」。浪江町から移り住んだ1家族を除いて、ほか5家族は「自主的」に避難した。子どもを外で思いきり遊ばせたい、放射性物質が入っていないものを食べさせたいと、当たり前の生活を求めて遠い九州までやってきたのだ。  生家が鳥栖にあるために避難してきた母親が「ピンクバード セカンドホーム」というグループを立ち上げる。「鳥栖が第二の故郷と思えるくらい素敵な場所であってほしい」という思いから、支援物資の収集から分配、医者やスーパーの情報を提供していく中で、鳥栖の住民と避難してきた人がつながっていく。人のネットワークに支えられて、迷いながら悩みながら自分らしい生活をつくる過程から生まれたのは、手を差し伸べてくれた佐賀の人々への感謝や、今を力強く生きていく確かさ。自らの選択への誇り、ほかの人の選択に対する敬意がすがすがしい。(ま)
【 新聞代 】(送料込み)
 1カ月750円、3カ月2,250円
 6カ月4,500円、1年9,000円
【 振込先 】
 郵便振替:00180-6-196455
 加入者名:婦人民主クラブ
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