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ふぇみんの書評

失職女子。 私がリストラされてから、生活保護を受給するまで

大和彩 著

  • 失職女子。 私がリストラされてから、生活保護を受給するまで
  • 大和彩 著
  • WAVE出版1400円
 非正規労働者の7割が女性で、一人暮らしの女性の3割強が貧困…。そんな社会を映し出すかのように、「女性の貧困」に関する本の出版が相次いでいる。本書もその一つだが、思わず笑ってしまう軽妙な書きっぷりと裏腹に、あれよあれよという間に、金・人間関係・精神状態の「溜め」を失い、貧困に陥る様がリアルすぎる。   著者は大学卒業後正社員となるが、仕事が原因で病気を発症して休職から失職。その後は契約や派遣で働くも、倒産、リストラ、派遣切りで失職。そして「35歳の壁」に阻まれて100社連続不採用に。アパートからの退去命令、底つく貯金、加えて両親からの虐待が要因の精神疾患…。借金か風俗か自死か。生きるために、著者が向かった先は行政だった…。  幼少期にも仕事でも「あなたは不要」と言われ続け、生活保護の受給で「生きてていい」と言われた気になったと著者。貧困と隣り合わせの女子が今を生き抜くためのヒントにあふれている。(登)

僕たちの国の自衛隊に21の質問

半田滋 著

  • 僕たちの国の自衛隊に21の質問
  • 半田滋 著
  • 講談社1300円
 自衛隊とは何か、日米安全保障条約について、集団的自衛権行使や改憲を認めてしまうと何が起こるのかなどを、東京新聞論説委員の著者が、Q&A形式で丁寧に解く書。単に武力行使はダメというのではなく、憲法9条のもとで行われてきたPKO活動や災害支援などが、国際社会では一定の評価を得られ、いわゆる「戦死」者を1人も出していないことなど、自衛隊活動の歴史や現実的な活動実績も評価し、これが集団的自衛権行使によってどう変わるかなどを明確に示している。  このままでは近い将来、徴兵制が復活し、海外で人を殺し、殺されることになる。そんなのは絶対に嫌だ。そのために何をすべきか。最終章では、中国、韓国との対話の重要性など、軍備よりもやらねばならないことが語られる。どんなことをしても日本を「戦争する国」にしてはならないという著者の声が、多くの人に届いて欲しい。若者向けの本だが、国会議員の大人たちに配りたい。(梅)

精神医療の現実 処方薬依存からの再生の物語

嶋田和子 著

  • 精神医療の現実 処方薬依存からの再生の物語
  • 嶋田和子 著
  • 萬書房1900円
  前著『ルポ精神医療につながれる子どもたち』で、子どもへの精神薬投与の恐ろしい現実をルポした著者。新著では、精神医療の「薬漬け」の実態と、そこからの離脱の実例を丁寧に描く。  「薬漬け」医療は精神科に限ったことではないが、抗精神薬は依存性が強く、離脱には想像を絶する困難を伴う。   医師の処方を信じて「薬物依存」に陥るという現実。処方薬依存は、「医原病=医療が作り出す病気」であり、「薬を安易に、大量に処方する精神科医の罪は決して軽くない」と著者は断罪する。  本書には、著者のブログ(「精神医療の真実」)でつながった9人のケースが紹介されている。七転八倒の末、処方薬依存から脱け出した人、困難な薬物離脱の途上の人、そして、C型肝炎のインターフェロン治療からうつを発症し、薬物依存に陥ったケースもある。  これから断薬する人に勇気を与えると同時に、伴走者の重要性を痛感した。(JO)
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