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ふぇみんの書評

までいの力 福島県飯舘村にみる一人一人が幸せになる力

「までい」特別編成チーム 編

  • までいの力 福島県飯舘村にみる一人一人が幸せになる力
  • 「までい」特別編成チーム 編
  • 出版社:SEEDS出版 価格:2500円
 原発事故による放射能汚染で全村避難を迫られている福島県飯舘村。本書は、そんな悲劇が襲うことなど予想もせず、なつかしい里山の風景が残る村に通い、そのユニークでエコな施策やそこに生きる人々の姿を紹介しようと準備されていたものだ。豊富なカラー写真入りの本として完成したのは、避難指示発表の4月11日だったという事実には言葉もない。  タイトルにある「までい」とは、丁寧に心をこめてなどを意味する古くから村で使われてきた方言。村主催の「までいなピンポンラリー」は、相手のとりやすい球を返球しあい何回ラリーが続けられるかを競うゲームで、村長を先頭にこの村がめざした暮らし方を象徴する。そこに込められていたのは、原発というものが示す価値観とは真逆なものだった。  「までいな心は新しい日本を再生する基礎」という本書冒頭の村長メッセージ、多くの人の心に刻まれてほしい。(束)

歴史教育とジェンダー 教科書からサブカルチャーまで

長野ひろ子、姫岡とし子 編著

  • 歴史教育とジェンダー 教科書からサブカルチャーまで
  • 長野ひろ子、姫岡とし子 編著
  • 出版社:青弓社 価格:1600円
 ジェンダー史研究の成果は歴史教育に反映されにくい。  ある歴史的な事象がなぜ起こったのか、大きな歴史の中に位置づけて理解をできるような教育にしたい。そして、女性関連の記述自体を増やし、意識されずに女性が排除されるような用語(「男性」普通選挙権なのに普通選挙権と使われていることなど)をなくし、女性の主体的なかかわりが分かる歴史教育をどう実現するのか。  さまざまな論者がこの問題を論じる。具体的に奴隷貿易をジェンダー視点で解明し実は女奴隷たちは出産を抑制するような主体的な抵抗を示していたことを明らかにする。またアテネとスパルタにおける女性の地位の違いを比較しその社会構造の背景を探る。また性と生殖の歴史を盛り込むべきだとする。  本書は2009年の日本学術会議史学委員会の歴史学とジェンダーに関する分科会が開催したシンポジウム(本紙でも概要を連載)をもとに新たな執筆者も入れ再構成したものだ。(衣)

新装版 食卓にあがった放射能

高木仁三郎、渡辺美紀子 著

  • 新装版 食卓にあがった放射能
  • 高木仁三郎、渡辺美紀子 著
  • 出版社:七つ森書館 価格:1400円
 故高木仁三郎さんがチェルノブイリ原発事故後の1990年に発表した書籍を、福島第1原発事故を契機に新装版として出版したもの。第5章「日本で原発事故が起こったら」と、第6章「放射能にどう備えるか」は、まさに今必要だ。  ある日突然事故が起き、空気が汚れ、放射能が降下し、水や大地や食品の汚染が始まる、という本書が想定した事態が、福島県を中心に進行してしまっている。著者は、事故に備えて正しい知識と十分な情報を重視し、臨機の判断ができれば混乱を避けられ、さらに専門的能力のある民間の機関を各地に育てるべきだと説く。政府が事故情報の全てを公表しているのか信用できないときだからこそ、心底同感する。市民は知識を持って、関係機関を監視して、自衛しなくてはならない。  専門用語と単位と数字に気おされるが、説明が具体的で分かりやすい。この本が現実に役立つような読み方をされる事態を、著者はどう思うだろうか。(さ)

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 1カ月750円、3カ月2,250円
 6カ月4,500円、1年9,000円
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