WOMEN'S DEMOCRATIC JOURNAL femin

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ふぇみんの書評

「女のしあわせ」がなくなる日

ももせいずみ 著

  • 「女のしあわせ」がなくなる日
  • ももせいずみ 著
  • 出版社:主婦の友社 価格:781円
 かつて「女のしあわせ」は「結婚・家庭・子ども」の3K、それは「家事・子育て・高齢者介護」の3Kとセットだった。統計では1990年生まれの女性の4人に1人、男性の3人に1人は生涯独身で過ごすと予測される。全員結婚時代は遠い昔、もはや漠然と結婚を待っても幸せにはなれない。  本書では、イマドキ女子から団塊の世代の祖母の時代の女性までのライフコースを振り返り、現在の女性たちの生き方、しんどさを分析する。さらに「少子化対策」「子育て支援」「婚活」という言葉だけでは導くことのできない、本当にハッピーな生き方への方向づけを行う。  最後に著者は、従来の3Kから、「シェア・育てる・住まう」の3Sへと変換することで新しいしあわせが見えてくると説く。ちょっぴり爽やかすぎて、思わず「本当かなぁ?」とツッコミたくもなるけれど、キーワードとしては素敵だ。社会にはたらきかけられるようなアプローチが具体的に見えれば、なおよかった。(梅)

「紙」と共に去りぬ

でんごつねお 著

  • 「紙」と共に去りぬ
  • でんごつねお 著
  • 出版社:リベルタ出版 価格:1800円
 リベルタ出版の発行人が、2003年のイラク攻撃を契機に、自社のホームページに「零細出版人の遠吠え」なるブログを書き、毎日更新を始めて8年。読者の要望に応え、そのセレクト版が本になった。  電子書籍化の波の中で「紙」の本にこだわり続ける編集者の気骨あふれる辛口時評。  すっかり批判精神をなくしてしまった日本のマスメディアへの容赦ない批判は、「権力の(に対する)番犬」たるべきメディアが「権力の狛犬」になるな!という悲痛な叫びにも聞こえる。  現在の出版界やメディア、社会の状況がよく分かると同時に、著者の琴線に触れた数多くの本が引用文とともに紹介されていて、優れた書評としても興味深い。  そして、最後の第4章は、早世した息子への鎮魂歌。3章までの鋭さを残しつつもガラリと趣を変え、父としてのあふれる思いを押さえて綴る文章は、ブログの中でも最も反響が大きかったという。(JO)

日本文学の「女性性」

増田裕美子、佐伯順子 編

  • 日本文学の「女性性」
  • 増田裕美子、佐伯順子 編
  • 出版社:思文閣出版 価格:2300円
 「男性文学」と女性性の考察対象としては、三島由紀夫の戯曲『朱雀家の滅亡』や太宰治の『女生徒』、夏目漱石の『行人』が遡上に上る。ギリシャ悲劇、日本神話、シェークスピアなど古今の物語伝統を踏まえて読み解かれ、下位にあるものとしての女性、逃げる男を追う存在としての女性など、女性イメージの普遍性が浮かび上がる。  樋口一葉は、ヴァージニア・ウルフ、マルグリット・デュラスと照らし合わされ、職業として作家を選んだ女性が、既存のジェンダー役割との齟齬に揺れる姿など、時代や文化を超えて共有する点が指摘される。壷井栄の『二十四の瞳』では両様に利用されうる母性の危うさ、あさのあつこの『バッテリー』では作者の少年性への強い憧憬などが批判され、ジェンダー視点で読めばこうなるのかと、目からうろこの知見が続出。本書ではさらに、市場調査をもとにした出版社の販売戦略とライトノベルとの関係にも迫っており、読者のリテラシーを啓く。(ま)

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 6カ月4,500円、1年9,000円
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