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ふぇみんの書評

ビッグイシューの挑戦

佐野章二 著

  • ビッグイシューの挑戦
  • 佐野章二 著
  • 出版社:講談社 価格:1,429円
 ホームレスの人が駅頭などで販売する雑誌「ビッグイシュー」をご存じの方も多いだろう。  2003年に大阪で日本版が創刊され、いまや1000人以上の販売者が総数で400万冊近くを売るが、創刊時には「100%失敗する」と太鼓判を押された事業だった。
 都市計画プランナーの著者が、この事業を始めたきっかけや、数多くの困難を超えてきた歩みを記した本書は、読み出すと止まらない魅力にあふれている。
 ホームレスの人をビジネスパートナーとした事業で社会問題の解決に挑む実践。2人の女性の並々ならぬ情熱。NPO法人と両輪で進める意義。そして、「仕事を提供して自立を応援する」という当初の目的を超えて見えてきた、若年ホームレスの抱える問題。
 「心を病むか、自殺か、ホームレスか、選択肢は3つにひとつ」というほど生きづらい社会をどう変えていくのか。本書の実践が語る具体的なヒントを、今後どう生かしていくかが問われている。(JO)



乳がん 後悔しない治療よりよく生きるための選択

渡辺容子 著

  • 乳がん 後悔しない治療 よりよく生きるための選択
  • 渡辺容子 著
  • 出版社:径書房 価格:1,900円
通常の闘病記とはちがう。まず著者は40歳の時に乳がんを発見してからも、治療せず放置する。彼女は1994年、本紙記事を読んで慶応大学病院放射線科の近藤誠医師の診察を受け、早期発見早期治療は効果がない、乳がんの場合、転移があるがんは命にかかわるが、転移がなければ放置しておいていい、という近藤さんの著書や言葉に納得し経過を見るのだ。 6年後にリンパ節転移。抗がん剤治療で小さくしたがんをくりぬき手術、放射線治療する。そして数年後全身転移。
 彼女は医師と相談し納得して治療法を選ぶ。自己決定は生きる力ともなる。今も信頼する治療医と在宅医がいる環境で痛み止めなどを飲みながら自宅療養を続ける。  本書は著者が自分の選択してきた治療、そこから得た哲学ともいえる生き方を伝える。「がんは死ぬまでにある程度の時間があるという点でいい病気だ」と。生きることを考えるぜいたくな物語を読んだ気持ちになる。(衣)



わたしの終戦記念日

瀬谷道子 編

  • わたしの終戦記念日
  • 瀬谷道子 編
  • 出版社:新水社 価格:1,400円
今も第一線で活躍する70~90代の女性たちが、終戦の日のこと、戦前・戦後の暮らし・生き様、平和への思いを語る。顔ぶれは様々で、女優の赤木春恵や中村メイコ、作家の吉武輝子、リポーターの東海林のり子、評論家の樋口恵子、映画監督の羽田澄子ら12人。女性の戦争体験記は見聞きしているのに、本書の12人の女性の言葉が、新鮮な重さと感銘をともなって響いてくるのはなぜだろう。
 多くの女性が「軍国少女」。自分の人生を生きること、楽しむことが許されなかった。なぜ戦争が始まったのか、日本軍が何をしたのかを知ったのは「ずいぶん後」という人が多い。そして終戦。次は生き残るために生活を必死に支えた。一方女性たちには戦前の家制度と、新憲法制定後も残る女性差別との闘いもあった。壮絶な戦争を「生き残った者」として、戦後は自分を生き切る闘いを続けた女性たちの、今の社会への警鐘と若い世代への言葉に、心をぐっとつかまれた。(登)



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