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ふぇみんの書評

名護の選択海にも陸にも基地はいらない

浦島悦子 著

  • 名護の選択 海にも陸にも基地はいらない
  • 浦島悦子 著
  • 出版社:インパクト出版会 価格:1,900円
著者は沖縄・名護市に住み、米軍・普天間飛行場の移設問題をテーマに、長年にわたり書き続けている。本書は、このテーマによる4冊目で、ルポは2008年6月、沖縄県議会与野党逆転劇から始まる。
 同年8月、政権交代が起こり、ようやく民の意思が政治に反映され、基地問題が見直されるのではと期待されたが、鳩山・菅政権に裏切られた。マスコミは鳩山首相の失策ばかりを強調し、県外の世論は傍観者のままだ。沖縄の人たちの失望は計り知れない。
 本書は、基地反対運動の報告とともに、やんばるの森やハンセン病療養所などの歴史にも触れ、環境、公害、戦争の傷跡など様々な観点から基地問題を提起する。マスコミ報道からだけでは見えない、多くの問題を孕む基地問題を知るための貴重なルポだ。体をはっての基地建設反対運動をしながら、書き続ける著者。熱く、しなやかな文、ていねいな取材は、力強い説得力を持って私たちに迫る。(じ)



ポストコロニアリズムとジェンダー

菊地夏野 著

  • ポストコロニアリズムとジェンダー
  • 菊地夏野 著
  • 出版社:青弓社 価格:3,000円
軍事占領下の沖縄は、女性に対する暴力が日常化するとともに、「売春天国」と呼ばれるほど買売春が盛んな地だった。そこでは買売春とそれに従事する女性はどのように理解され、統制の対象となっていったのか。本書が注目するのは、アメリカ軍によって1953年に導入された「Aサイン制度」である。これは沖縄の飲食店・風俗店に対し、一定の検査に合格した店にのみアメリカ兵相手の営業を許可するというもので、当初は飲食物の衛生管理を目的としていたが、次第に厳格な売春管理のシステムへと変容していく。その過程では基地経済に依存していた沖縄社会の積極的な協力もあった。
 筆者は豊富な史料を用いてこれらの歴史をひも解きながら、買売春をめぐって「強制か自由意思か」を問う構図が、いかにそれを取り巻く社会権力関係を無視したものかを指摘する。90年代の買売春論争も手際よくまとめられており、あらためて振り返るうえでも本書は大いに役立つだろう。(め)



パンツは一生の友だち排泄ケアナース実践録

西村かおる 著

  • パンツは一生の友だち 排泄ケアナース実践録
  • 西村かおる 著
  • 出版社:現代書館 価格:1,600円
毎日食べて飲んで便を出し、排尿する。この、生きていれば当たり前なことの、なんと奥の深いことか。筆者は排泄ケアという日本ではなじみのない分野の初の看護師として、様々な排泄の悩みの相談を受けてきた。その一端を伝えた本書を読んでため息が出る。
 お産をすると女性は骨盤底筋がゆるみ、くしゃみしたりすると尿失禁になりやすい。これは骨盤底筋を鍛えるとかなり改善する。
 それだけではない。子どもの夜尿症の相談、頸椎損傷による排泄ケア、高齢期の失禁、性同一性障害の性別変更手術後の排泄ケアなど、どの事例を読んでも、人間にとって排泄という問題が、いかにその人の尊厳とかかわっているかがわかるのだ。
 筆者はどんな時にもあきらめない。時には器具の助けを借り、悩みを聞きながら、その人が何を望んでいるか、そのためにどうサポートできるかを探る。
 どんな人も出遭う、排泄のトラブル。本書からは、生きる知恵が得られる。(衣)



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