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ふぇみんの書評

自宅で親を看取る知恵息子による介護実践の記録

山本勝美 著

  • 自宅で親を看取る知恵 息子による介護実践の記録
  • 山本勝美 著
  • 出版社:朝日新聞出版 価格:1,500円
 本書は、障がいのある人の地域生活を応援してきた筆者が実父の介護にあたり、仕事をしながら自宅介護を行った記録。
 母が亡くなり、ひとり暮らしになった父。でも、自宅から2時間かかる父の家にムスコは1カ月に1回ほど行くのが精一杯だった。肺炎による入院などがあり、少しずつ認知症の症状が進み老人保健施設に入る。
 やがて施設から1カ月、自宅中心のケアプランを立てる。折しも、介護保険制度が動き始めるころ。デイサービス、ショートステイ、弁当の宅配、在宅ヘルパー、近所のボランティアなどを使って、きょうだいや孫たちも手伝う。そして何回か自宅介護をする。
 やがて誤嚥も多くなり、胃ろうで栄養を取るようになり、90歳で父は逝く。筆者は最後に、様々な提案をする。介護保険の正式なサービスだけでないインフォーマルなサービス、家族混成チーム等。父とムスコの信頼関係が全編から感じられる。(衣)



女はポルノを読む女性の性欲とフェミニズム

守如子 著

  • 女はポルノを読む 女性の性欲とフェミニズム
  • 守如子 著
  • 出版社:青弓社 価格:1,600円
 女性の性を商品化し、「支配/服従」の関係性を描くことで暴力的・差別的な性意識を形成していると批判されてきたポルノグラフィー。著者は、「新たなフェミニズム・ポルノグラフィ論」への道を拓こうと、ポルノコミックの具体的な分析を行い、これまでの批判の妥当性を問う。また、ポルノを有害なものとして一律規制を求める道徳主義陣営の主張と「行動する女たちの会」の活動とを比較しこれまでのフェミニズムによるポルノ批判運動や議論を整理。
 女性向けポルノコミックの読者アンケートの分析から、読者がマスターベーション・ファンタジーや性情報を得ていることが見える。男性向けポルノコミックとの比較では、女性向けの方が読者の不安を引き起こさないための工夫がされていることを指摘し、女性の快楽のためには「安全」が担保され、フィクションだと保証されることが大切だと分かる。
 「告発」の次の議論のために必要な優れた著である。(竹)



アフガン戦争を憲法9条と非武装自衛隊で終わらせる

伊勢﨑賢治 著

  • アフガン戦争を憲法9条と非武装自衛隊で終わらせる
  • 伊勢﨑賢治 著
  • 出版社:かもがわ出版 価格:1,400円
「米軍・NATO軍即時撤退!」という平和運動の主張。それはそうなのだが、決定的に欠けているものがある。それはアフガニスタンの和平にどう「主体的に」取り組むかということ。タリバン勢力が復活し南北に国が分断した原因が、日本の「武装解除事業」にあると著者。しかも米軍が急に撤退したら「力の空白」が生じ内戦が勃発するのは確実とも。紛争地で「武装解除人」として活躍してきた著書による解決方法が本書だ。
 著者の提案はタリバンの温床のパキスタン国境を「支え合う安全保障ゾーン」にし経済特区を作ること。すでに実現に向け進行中で、パキスタン政府、カルザイ大統領や、米軍・NATO軍現地司令官らとの交渉の様子も書かれている。現場を歩き、多くの当事者とタフな交渉を重ねてきた著者が言う「ゾーンの停戦監視に非武装自衛隊を」。それが9条と前文をつなげることにもなるとの主張。和平は「正しい」から実現するのではないことが身にしみる。(登)





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