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ふぇみんの書評

私はマイノリティ あなたは?難病をもつ「在日」自立「障害」者

李清美 著

  • 私はマイノリティ あなたは? 難病をもつ「在日」自立「障害」者
  • 李清美 著
  • 出版社:現代書館 価格:1,500円
 「老後? そんなものないわよ」。日々前向きに、「いまできること」に全力投球する先輩たちに教えられてきたと語る著者は、「社会を変えることは自立『障害』者の使命」と、20年以上の自立生活の経験や思いをさらけ出す。
 中学時代に、脚に激痛が走り徐々に固まる難病にかかり7年間風呂にも入れなかった著者は、数多くの“先輩”との出会いの中で、次第に自立生活への道を歩み出していく。さらに彼女を襲ったアーノルド・キアリ症という脳の一部が頭蓋骨から脊髄に落ち込む新たな障害。
 そんな中で自分に降りかかるすべてのことを受け入れ、「見ないふり」ではなく、どうすれば解決できるか、自分のほしいものを手に入れられるのか? と一歩一歩進んでいく。
 プロの介助者ではなく、学生介助との一からの関係づくりが、社会を変える道と、実践し続ける。 サラリとした語り口の中に、すべての人にとって示唆深い“人生哲学”が詰まっている1冊。(JO)

若者と社会変容リスク社会を生きる

アンディ・ファーロング、フレッド・カートメル 著/ 乾彰夫、西村貴之、平塚眞樹、丸井妙子 訳/

  • 若者と社会変容 リスク社会を生きる
  • アンディ・ファーロング、フレッド・カートメル 著/ 乾彰夫、西村貴之、平塚眞樹、丸井妙子 訳/
  • 出版社:大月書店 価格:2,800円
 90年代以降、何かと問題化される若者。本書は、日本を含めた先進諸国で共通する若者の状況を、オイルショック以後の産業構造転換に代表される大きな社会変容(後期近代)という文脈におき、論じるものである。
 ポスト福祉国家的状況の中、若者は自らの責任において人生をつくり上げることを要請される個人化した世界に生きている。しかし、著者らによれば、そのような個人化は構造的決定力の弱まりではなくその不可視化を意味している。つまり、これまでと同様、若者の人生はジェンダーや階級によって大きく構造化されているが、その様相が見えづらくなっているのだ。日本でも見落とされがちな視点だ。
とかく断片的かつ印象論的に論じられやすい当該テーマについて、労働問題のみならず、教育、余暇、犯罪、政治参加など、若者が置かれている社会状況について、実証的に論じている点も○。(ぐ)

知ってほしいアフガニスタン

レシャード・カレッド 編著

  • 知ってほしいアフガニスタン
  • レシャード・カレッド 編著
  • 出版社:高文研 価格:1,600円
アフガニスタンでは、米軍の空爆、自爆テロなどによる死者の数はいまだ増え続け、治安は悪化の一途である。戦禍はなぜ止まないのか? 本書を読むと、その複雑に絡む重い事情がわかってくる。
 著者は日本に留学して医師となり、静岡で長年地域医療に取り組むアフガニスタン人である。荒れ果てた祖国の状況は看過できないと、医療と教育支援のためのNGO「カレーズの会」を立ち上げ、現地で診療所をつくり、18万人以上の診療を行ってきた。
 本来は人間愛、社会の秩序を重んじてきたアフガニスタンの人々。1979年のソ連侵攻後、残された大量の武器が次の戦乱を引き起こし、他国の思惑に翻弄されて今日に至る。現政権の無力、腐敗、経済の疲弊で人々に仕事はなく、麻薬のケシを栽培し、自爆テロで報酬を得ようとさえする。この国にとって「最も信頼が厚い国」だという日本。私たちがやれることは? 在日アフガニスタン人の非暴力の提言が平和への道標となるはずだ。(み)



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 6カ月4,500円、1年9,000円
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