金子文子 獄中のうた アナーカ・フェミニストの短歌を文学テキストとして読む
大田美和 著
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金子文子 獄中のうた アナーカ・フェミニストの短歌を文学テキストとして読む
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大正期に大逆罪となったアナキスト金子文子の生涯と仕事を、獄中で詠んだ短歌を窓として一望する。短歌のような型にはまった表現を文子が好んだのは意外だが、文子の琴線に触れたのは、社会の矛盾を詠んだ石川啄木だ。「我が好きな歌人を若し探しなば夭くて逝きし石川啄木」。文子の短歌も手記(自伝)と同様に彼女の考えたこと感じたことを伝えるが、より「その時々の心の揺れ」が表現されているという。「迸しる心のまゝに歌ふこそ眞の歌と呼ぶべかりけれ」「我が歌は壓しつけられし胸の焔よ」。「資料篇」で全165首を読める。歌に出てくる人物の推理や、革手錠など獄中における虐待を告発した歌をどのように獄外に出せたかについての仮説も非常に面白い。
英文学、ジェンダーの研究者にして歌人の著者は、文子の短歌の魅力を「冷酷なまでの自己批判が絶えず存在すること」と評する。鋭い切れ味だ。(雪)
はじめての公共訴訟 社会を動かす、私たちのツール
井桁大介、亀石倫子、谷口太規、丸山央里絵 著
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- はじめての公共訴訟 社会を動かす、私たちのツール
- 井桁大介、亀石倫子、谷口太規、丸山央里絵 著
- 集英社920円+10%
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同性婚訴訟、選択的夫婦別姓訴訟、「18歳未満にも選挙で応援する自由を」訴訟…最近、社会課題を解決するための「公共訴訟」の話題が盛んだ。歴史は古く、1960年代からの公害訴訟等もそう。しかし今、公共訴訟は熱く、広く世に知られ、進化を遂げている。本書は公共訴訟の普及に携わる実務家らが、その意義や機能、歴史、見通し等を詳らかにする。
公共訴訟は、少数者の権利擁護や、法の「バグ取り」の機能はもちろん、訴訟で提供される国からの情報の公開や、議論をするフォーラム形成等、民主主義の担い手たる市民にとって重要な機能がある。また社会課題の存在を人に伝える「強力なメディア」でもある。しかし公共訴訟は、請け負う弁護士の少なさ、費用、時間等でハードルが高い。そこで2019年には日本初の公共訴訟プラットフォーム「CALL4」、専門家集団「LEDGE」が誕生し、次々に社会変革につながる訴訟を提起。政治の暴走に憂鬱になるが、公共訴訟という希望がここにある。(如)
- 地を這う声のために
- 目取真俊 著
- 影書房1800円+10%
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行動するウチナンチュー作家、目取真俊が2020年から25年の6年間に新聞や雑誌に発表した評論集。時はまさにコロナ禍、当時の安倍首相は、外出するな、人と会うのを8割減らせと言いつつ、辺野古新基地建設工事は強行。市民は、マスクをつけ、距離をあけ、機動隊員と接触しないように抗議を続けざるを得なかった。沖縄が頼りとする観光業は人が動かなければ成立しない。観光と感染拡大を天秤にかける沖縄のジレンマが行間から痛いほど伝わってくる。
著者は「(日本政府は)辺野古の後戻りはできないというあきらめモードを広げ、県政不況を宣伝して県民に次の知事選で基地問題より経済問題を優先させる」と20年10月に書いている。今、県知事選の結果を知って読むと政府の思う通りの奸計に乗せられたことがなんとも悔しい。さらに「好き好んで反対運動をやるのではない。自分にとってかけがえのないものを守るために地を這うように声を上げている」と結んでいる。(公)