WOMEN'S DEMOCRATIC JOURNAL femin

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ふぇみんの書評

中高年シングル女性 ひとりで暮らすわたしたちのこと

和田靜香 著

  • 中高年シングル女性 ひとりで暮らすわたしたちのこと
    • 和田靜香 著
    • 岩波書店960円+10%
    中高年のシングル女性は、「わくわくシニアシングルス」の調査によると、8割以上が働いているのに、7割の人の生活が苦しく、貧困率は65歳以上で44%。しかし長く「透明な存在」にされてきた。自身も中高年シングル女性の著者が、その貧困、苦しさの原因と生き抜く方法を見つけるべく、30人の女性たちにインタビュー。  介護、DV、離婚、就職氷河期、家の束縛、会計年度任用職員…中高年シングル女性に至る過程は様々。著者は社会で透明化されてきた一人一人に出会い、対話し、その存在や個人史を鮮やかに浮かび上がらせる一方で、「男性稼ぎ主モデル」をはじめとする、中高年シングル女性の不全感の原因となる制度の欠陥を軽妙なタッチで暴いていく。そしてどう女性たちがつながるのか、シェアハウスはできないか、看取りはどうするのか等の具体的先進的取り組みの場にも飛び込む。当事者による当事者のための当事者の「尊厳」を取り戻す書ともいえる。(逐)

    花の大陸 La Florida

    金城龍太郎 著

    • 花の大陸 La Florida
    • 金城龍太郎 著
    • 南山舎 1800円+10%
     2038年、米国に住むフロリタはあるUSBを受け取るが、データは完全には読めず、謎を解くため沖縄の石垣島に向かう―。  「あの男が死んだ。」で始まる本小説。あの男とは「金城龍太郎」。石垣島への陸上自衛隊配備の賛否を問う「石垣市住民投票を求める会」の代表だった金城龍太郎さんだ(本書の著者!)。著者は小説の中で、住民投票を「実現」させ、住民投票を実施した市民運動を「南国革命」と名付ける。「求める会」の仲間などがモデルの登場人物たちとフロリタが交流、石垣島の自然や文化を描きながら、USBの謎に迫っていく。  500頁に近い長編だが読むのを途中で止められない。構成力や表現力に感動する。「フルーツ園金城」でマンゴーを育てながら執筆する、異色の小説家の誕生だ。住民投票が実現できなかった無念さ、世界の不条理を小説に込めているが、エンタメ小説として抜群におもしろい。強者への抵抗や人間への信頼感が溢れる希望の書だ。(ん)

    岐路に立つドイツの「過去の克服」 イスラエル・パレスチナ紛争からの問い

    浅田進史、板橋拓己、香月恵里 編

    • 岐路に立つドイツの「過去の克服」 イスラエル・パレスチナ紛争からの問い
    • 浅田進史、板橋拓己、香月恵里 編
    • 大月書店2700円+10%
    パレスチナ・ガザでどれだけ残虐を尽くしても、イスラエルを擁護し続けるドイツ。だが、ホロコーストの過去があるからドイツはイスラエル批判を避け続けると断定するのは単純すぎる、というのが本書の底に流れるテーマだ。  この80年間のドイツ政府やドイツ市民の対イスラエル観には紆余曲折があった。戦後世界で一定の地位を築くにはイスラエルとの〈和解〉や〈承認〉が必要だと考えたドイツ。中東での戦争に関与するイスラエルを批判すると、それが非難され、軌道修正し、イスラエルを支え続けた。2008年のメルケル首相による「ドイツの歴史的責任は国家理性の一部」発言で、より緊密な独イ関係に。それでも変化は起こる。現在はホロコーストの唯一性を問い、パレスチナへの連帯を訴える議論も進む。「ガザ・ジェノサイドを否定するアメリカ」の分析は、日本の外交政策を考えるためにも重要だ。(み)
    【 新聞代 】(送料込み)
     1カ月800円、3カ月2400円
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    【 振込先 】
     郵便振替:00180-6-196455
     加入者名:一般社団法人婦人民主クラブ
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