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ふぇみんの書評

兵士とリゾート 米軍保養地と日本観光の戦後史

阿部純一郎 著

  • 兵士とリゾート 米軍保養地と日本観光の戦後史
    • 阿部純一郎 著
    • 慶応義塾大学出版会2500円+10%
    〈米軍観光〉を切り口に、日本と占領米軍の戦後史に焦点をあてた書。占領中の米兵は休暇を与えられ日本観光を楽しんでいた。これには米軍側の深い事情―兵士の士気低下と軍の内部崩壊を防ぐ―があった。  米軍が考えたのは、戦前からあった数々の豪勢なホテルを接収し、兵士たちに自由に日本観光をさせ、ガス抜きすること。実際に多くの米兵が日本中を保養地として「特殊慰安」(ここでは音楽や相撲)等を提供されたという。ちなみに、性の提供をした「特殊慰安施設協会(RAA)」は登場しないが、別の側面だったからか。  朝鮮戦争期には出撃・兵站基地と同時に、「休息と回復」センターが作られた。日本側も商機だと同調し、「戦後復興」する企業も出る始末。興味深いのは、ベトナム戦争期、「ベ平連」が脱走米兵支援運動をしたが、これは作為的に観光を利用して「脱走」支援したものと、分析した点。  「保養」と日本の商機の重なりには複雑な思いがした。(げ)

    ソ連以後を闘う女性たち 政治という暴力がもたらすもの

    高柳聡子 著 ふぇみ・ゼミ&カフェ運営委員会 編

    • ソ連以後を闘う女性たち 政治という暴力がもたらすもの
    • 高柳聡子 著 ふぇみ・ゼミ&カフェ運営委員会 編
    • 一聡舎1700円+10%
     ロシア、ベラルーシ、カザフスタン、北カフカース(チェチェン、ダゲスタン等)、ウクライナ。ソ連時代に「男女平等」を推進した国々で、ソ連以後に何が起き、女性たちはどのように闘っているのかについて、「ふぇみ・ゼミ&カフェ」講座を採録。  そもそもソ連時代の「男女平等」は、真の解放ではなく、女性の身体を国家の「資源」とするもので、ソ連以後は家父長的価値観で締め付ける国が相次いだ。ロシアではマッチョな男性性賛美の流布、同性愛プロパガンダ禁止法制定、重傷をもたらす暴力以外のDVの非犯罪化を行った後にウクライナ侵攻に突入。それに対してフェミニストたちが毅然と発した反戦宣言。それ以外の国も含め、女性たちは今も命がけで、連帯し、様々に暴力にさらされる女性らを支援する方法を編み出している。   戦時下のウクライナの女性/クィア兵士をどう考えるのかという難問。国家の「資源」になることが何をもたらすのかは、今の日本の私たちに大きな示唆になる。(カ)

    ルポ 難民迫害

    神田和則 著

    • ルポ 難民迫害
    • 神田和則 著
    • 地平社2000円+10%
    本書は、毎日新聞・TBS社会部を経て現在はフリー記者として活動する著者による足掛け30年におよぶ取材の記録である。難民認定されなかった人々が、日本の入管に「殺される」までの過程にあった難民認定制度の問題を、幾度かのターニングポイントに焦点を当てて整理し、鋭く批判する。  「反同性愛法」が成立したウガンダから逃れてきた性的マイノリティ、ミャンマーのイスラム系少数民族であるロヒンギャ、元大使館職員のアフガン難民…背景も出身国も多様な難民申請者たちの訴えが、ありとあらゆる恣意的な理由で却下される様子を資料をもとに詳細に明らかにする。日本の入管はどこで立ち止まるべきだったのか、確実に救える命と人生があったのではないか。立ち止まる機会のその度ごとに改悪してきた入管の姿勢は、まさしくこの国の外国人への差別や無関心が積み重なった結果である。「最悪」を更新し続ける今こそ、まずはこの状況を知る必要がある。(め)
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