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ふぇみんの書評

エトセトラ VOL.15 特集 部落フェミニズムに呼応する

エトセトラブックス 編

  • エトセトラ VOL.15 特集 部落フェミニズムに呼応する
    • エトセトラブックス 編
    • エトセトラブックス1600円+10%
      昨年3月この出版社が刊行し、今まで声を聞かれてこなかった部落女性たちがその「二重、三重の差別と圧迫」を可視化し、言葉を紡いだ『部落フェミニズム』。その反響は大きく、何らかのマイノリティー属性を持つ人たちから呼応する声が届いたという。本書は、そんなあふれだした声をあふれだすままに刻んだ特集だ。  「クィアな部落民」の向坂あかねは、読み、感じ、知り、誠実でいることで部落アイデンティティを育もうとする。高井ゆと里はトランスジェンダーに無関心なフェミニズムを批判し、「脱ジェンダー化」で障害女性との“類縁性”を見出す。在日朝鮮人女性の李葎理は母と己の“寂しさ”との関係から幾重にも狭められた在日女性の生を思う。声に呼応し語り直される生の数々。  非部落の私は、堀江有里の、「他者のマイノリティ資源を横奪せずに応答」することとして、天皇制や戸籍制度、家族主義廃止を掲げることに学んだ。マジョリティの呼応こそ問われているのだ。(俊)

    差別のない本屋に通いたい。 本好き教師の冒険の記録

    仲川啓介 著

    • 差別のない本屋に通いたい。 本好き教師の冒険の記録
    • 仲川啓介 著
    • キボウ書房1800円+10%
     大型書店に対し、ヘイト本を置かないで、というキャンペーンを立ち上げたのは、単なる本好きの小学校の先生だ。始まりは足繁く通っていた書店にいつしかヘイト本が目立つようになったこと。危機感を持った著者はまず書店員に要望したが、それでは何も変わらないと気づき、署名サイトを通じて書店へのアプローチを開始する。そこから見えてきたのは、経営事情からヘイト本を置かざるを得ない大型書店の実情や、書籍の流通システムそのものの課題だ。  一方で、本書で触れている昨今の独立系書店の取り組みは面白い。書籍と一緒に駄菓子を置いて、子どもたちが集まれる場にしたり、同じ場に集う大人たちの援助で子どもが気軽に本を買えるようにするなど、小規模ながら地域のコミュニティとして存在する書店の存在には希望が持てる。  書店は差別を助長する場ではなく、生きるための言葉を得る場。本屋さん大好きの人はぜひ読んで仲間になろう。(梅)

    ガザ ある戦争の物語

    ディーナー・アブールバイア 著 溝川貴己 訳

    • ガザ ある戦争の物語
    • ディーナー・アブールバイア 著 溝川貴己 訳
    • 地平社1400円+10%
     著者は2000年生まれのガザに暮らす女性。イスラエルによる攻撃と占領の下で、家を失いながらも子を産み、避難民のテントで生活している。そんな中、命を奪われた一人一人、とり残された一人一人の“無数の物語をたたえた大海の一滴”を、世界に届けたいと本書を記した。ヒンド、ムハンマド、ハーディヤ、ワスィーム、ファーディー…。名を記された12人の背後には夥しい犠牲者がいることにおののく。軍用犬にかみ殺された青年や、母の遺体に出くわした救急隊員のこと。中でも5歳の少女・ヒンドが、家族が殺された車の中で、一人救助を待ち続けた物語は映画化され、日本でもこの秋公開される。  一人の人間が生きていた証を世界に知らせたい、この惨状の証人になってほしい、書き続ければいつの日か誰かの手元に届くかもしれない。そして著者は、読者に応答してほしいと、物語の最後にメールアドレスを載せた。見て見ぬふりはできない。応えなければと思う。(三)
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