みんなこうして連帯してきた 失敗のなかで社会は変わっていく
ジェイク・ホール 著 安藤貴子 訳
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みんなこうして連帯してきた 失敗のなかで社会は変わっていく
- ジェイク・ホール 著 安藤貴子 訳
- 柏書房2400円+10%
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私たちが抱える問題は一つの争点に集約できないし、全ての社会運動が目的を達成してはいない。けれど歴史に残るのは一部分のみに「骨抜き」にされたり、「取り繕われた」ものだけ…。英国の労働者階級でクィアの著者が、「アライシップ」という言葉が生まれる以前の1960年代から現代まで、様々な活動家や運動体が垣根を超えて連帯してきたという、最も権力者に都合の悪い事実を、その「失敗」も含めて鮮やかに描き出す。
上げた声や行動は地球上を伝播していく。1960年代の反戦運動にはすでに反人種差別・反資本主義・反植民地主義・反監獄の複合的視点で活動するフェミニストがおり、LGBTQ・女性受刑者・労働者・セックスワーカー・障害者・移民…が共通の敵を見定め、助け合ってきた。しかもユーモアに溢れ“セクシー”な方法を模索しながら。
アジア地域の記述がないのは残念だが、連帯の裾野の広さと彩の豊かさに、限りないエネルギーをもらえる!(界)
「日本美術」とジェンダー 希望を身体化する
千野香織 著 池田忍 編
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- 「日本美術」とジェンダー 希望を身体化する
- 千野香織 著 池田忍 編
- 岩波書店1750円+10%
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2001年に早逝した美術史学者・千野香織の、フェミニズムやポストコロニアリズムに関わる研究を中心にした論文集。多様な分析と熱い文章に刺激された。
中世の絵画を具体例に、作品を生む側と見る側の「視線」の分析や、日本や海外のミュージアムでの、植民地や戦争に関わる展示の有無や違いから、政治性、ナショナリズム、利用される「女性性」を読み解く視点に興味がわいた。韓国の「ナヌムの家」に展示されているユン・ソクナムのアートは、息苦しい現実の中で、生き続ける力と考え続ける勇気を与える、活力ややさしさに満ちた作品であると記す。吉良智子の〈解説〉には「それらのアートを体感し触れるという行為を遂行することで、観者は他者の痛みを引き受けるが、それだけではなく他者と希望を分かち合うのだと千野は論じた」とある。アートやミュージアムを通して、性差や階級、民族の不均衡などを読み解き、未来につなげる視点を持つ大切さを知った。(ぱ)
性暴力のない社会へ 男の性と生をみつめる
谷口和憲 著
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- 性暴力のない社会へ 男の性と生をみつめる
- 谷口和憲 著
- 「戦争と性」編集室2000円+10%
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著者は出版社「『戦争と性』編集室」でミニコミ誌「戦争と性」を1997年から出し続けて、現在35号を数える。自らの経験や思索のもと、性暴力は植民地主義や家父長制、歴史観、差別や支配の構造と密接につながっていると理解した。そして「自分が日本兵だったら慰安所の前に並んでいたかもしれない」と厳しく自問することで性暴力や性差別を自覚し、88年に「アジアの買売春に反対する男たちの会」を仲間と結成。
今、本書を、自身と同世代の60、70代の男たちに読んでほしいと語る。ポルノやAVを性行動の参考にせざるを得なかった男たち。人間同士の豊かな性を教えるべき性教育を蔑ろにしたのは教育界の責任だ。「慰安婦」問題や戦時性暴力から歴史修正主義、「セックスワーク論」、刑法性犯罪規定の改正、広河隆一氏のレイプ事件まで幅広く、当事者の語りも踏まえて世に問う。
著者は自身の生と性を考えながら、男性の"性"のあり方を深めていく。稀有な書。(げ)