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ふぇみんの書評

エキストリーム・センター

酒井隆史、山下雄大 編著

  • エキストリーム・センター
    • 酒井隆史、山下雄大 編著
    • 以文社3200円+10%
    「右でも左でもない(中道)」…日本でも既視感のあるこの言葉。実はこの四半世紀、欧州で、世界で観察された新自由主義的政治状況である「極中道(エキストリーム・センター、略してエキセン)」を示す。本書は、エキセン概念を提唱した仏のP・セルナほか様々な識者の論考やインタビュー等が載る日本初の「エキセン」論集だ。  エキセンは、左・右派を「偏っている」とし、その空いた討議空間を支配。特徴は、①穏健②信条のない「風見鶏ぶり」③警察や軍事等の執行権力の掌握。そして政治全域を支配し、新自由主義的政策を断行し、民主主義を衰退させる。英ブレア、仏マクロンしかり…。セルナが2019年以降の変化として加筆した部分こそ、私たちにとって喫緊の問題だ。それはエキセンが討議空間を無効化した後に、空間を埋めたのが「極右」だということ。  政治哲学等の専門用語も出てくるが、フェミニズムや大学での「エキセン」状況にも触れ、今こそ読んでおきたい一冊だ。(孫)

    分断八〇年 韓国民主主義と南北統一の限界

    徐台教 著

    • 分断八〇年 韓国民主主義と南北統一の限界
    • 徐台教 著
    • 集英社2200円+10%
     2024年12月3日の夜、突然韓国のニュースがスマホに届いた。「尹錫悦大統領が非常戒厳を宣布!」。隣国でありながらかつて日本が植民地にし、暴力や差別を振るってきた国、今はK-POPやファッションで日本の先を行く憧れの国。そんな韓国で何が起きていたのか。  本書は冒頭、当時の大統領による戒厳令宣布というセンセーショナルな事件をまるでドキュメンタリー映像を見るように生き生きと描き解説してくれる。さらに、どうしても一面的な理解しかできなかった南北問題を多様な側面から分析し、歴史と現状を問い直し、今の韓国の生々しい政治的立ち位置をあぶり出す。北と南は一つの国になるのか、あるいは二つの国として歩むのか。そんな単純な話でもない。世界が狡猾に利用する南北問題は、日本人にも他人事ではない。あまりにも重大なテーマにも関わらず、こんなにもわかりやすく臨場感あふれる筆致で語る本書に出会えて、学ぶことの大切さを改めて感じることができた。(J)

    トラウマからの回復と社会の修復 分断と再演を超える

    野坂祐子 著

    • トラウマからの回復と社会の修復 分断と再演を超える
    • 野坂祐子 著
    • 金剛出版3500円+10%
    「なぜ、この人はこんな行動をとるのだろう?」。問題とみなされる行動や心理の背景には、トラウマが潜んでいるのではないかという理解とアプローチを、トラウマインフォームドケア(TIC)という。著者は発達臨床心理学の専門家であり、児童福祉領域でTICを進める実践家。本書は支援者に限らず誰もが読みやすい語り口だ。そして、トラウマとは何かから始まり、臨床からみたTIC、最後に性被害と性加害を性的トラウマの視点で理解すること、を解いていく。  暴力は「家(イエ)に棲む」に、ドキリとする。トラウマには社会の歪みが表れること、トラウマから解き放たれ自分を取り戻すためにはTICのアプローチが欠かせないこと。子どもや友人の被害を知ったときの対処法によって、次のトラウマを防ぐことができることなど、気付かされた。  TICは、個人の再生や回復だけが目的ではない。トラウマで傷ついた社会の再生を支えるものという考え方に目を開かされた。(み)
    【 新聞代 】(送料込み)
     1カ月800円、3カ月2400円
     6カ月4800円、1年9600円
    【 振込先 】
     郵便振替:00180-6-196455
     加入者名:一般社団法人婦人民主クラブ
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