Subject: [fem-women2000 626] CSW45  03/13 -- ジェンダー差別と人種差別が交差するところ
From: lalamaziwa <lalamaziwa@jca.apc.org>
Date: Wed, 14 Mar 2001 07:54:37 -0500
Seq: 626

lalamaziwa です。

# 昨日の分は英語でメモってしまったので報告が書きにくくて苦労しています・・・。

3/13朝  --- NGOブリーフィングでは、ジェンダーと人種に関する地域会合の状況報告がありました。(前述の英語の報告を参照してください。)加えて、特別に松井やよりさんが「慰安婦」問題国際戦犯法廷について報告。人種とジェンダーの問題を進めていく上で重要な位置付けを持つ判決であることを説明。海外で法廷の報道を見ていた人たちは、実際の報告を聞けて嬉しいということを興奮気味に話していました。

3/13午前 --- 人種とジェンダーのパネル討議

Racism and Gender の Intersectionality に関するパネル討議は刺激的で面白かったです。パネル討議の仕掛けがうまく機能しはじめたということろでしょうか。

この議論は、国連の division for advancement of women と、人権委員会と、女性の地位委員会が2000年11月にクロアチアで共催した専門家会合にたんを発する議論です。
エスニックマイノリティーや、移住労働にかかわる女性4人がパネルのプレゼンをしました。

ひとつ例を挙げると、
英国の有色移住労働者について活動している Pragna Patel さんの報告では、「社会の多様性や平等を旨とする良心の政策であっても、ジェンダーの視点を取り入れたものでなければ、隙のグループには悪法となる可能性があることを認識するべきだ」というのが重要なポイントでしょう。例えば英国の有色人種の女性の場合、有色人種(男性が主)に対する措置、女性(富裕階層白人女性)に対する措置からははみ出した存在であり、家政婦として働いているケースが多い移住労働者の場合は解雇される不安(男性よりも強い脅迫観念)から、差別的扱いを公にすることが難しい。婚姻のために渡英した女性の場合は永住権確保までに1年間の猶予措置があるため、DV被害に会っても離婚による強制退去の恐れがある。under-policing や over-policing の問題もあり、被害届け出の窓口が存在しない under-policing 状態であるか、over-policing の場合は、被害救済以前に(日本でいえば)オーバーステイを指摘されるような事態に陥ることが多い。

パネルの趣旨と内容を乱暴にまとめると、
ジェンダー、人種という視点を複合的に活用していかないと、隙間から抜け落ちていく層が「より見えない存在(invisible)なってしまう」ということを訴え、Intersectionality のケースに着目してその部分をどうやってエンパワーしていくか?どのような行動が必要か?という観点から政策を変えていこうという提起です。

この辺りの考え方は、個人的にはデジャブという感じがありますが、ようやく学術的裏付けと、社会的な受け入れ態勢 (readiness) ができてきたということなのかもしれません。とり得るアクションについて面白い指摘がいくつかありましたので、追って、まとめたものを流します。


1時間半にわたって活発な討議が行われましたが、パネルの終わり方がいかにも国連的でした。パネル討議の中でイスラエルが国連人種差別会議の準備会合(アジア太平洋地域は昨年末にテヘランで開催)に参加するための入国を拒否された旨を発言したのに対して、イランが、パネル討議には一般論として参加したが個別の点について反論する権利を主張。「イラン政府が入国拒否したとジオニストが発言したが、その事実はない」とする反論を記録に残すことを求め、イスラエルは「イランが一般論として議論に参加したのは残念だ」と応えて、パネルセッションは終わりました。

このパネル討議の扱いですが、CSWでは、パネル討議議長のセネガル代表の責任でまとめと提言が出ます。これを南アの人種差別会議にCSWからのインプットとして提出する方向で決議が出ると予想されます。
3/13の夕刻までにドラフトが出る予定が少々遅れたようで、本日配布になる模様。Webに出すという話もありましたが、実際どうなるかは不明。

このパネル討議に対するNGO発言は2回、アジア太平洋とラ米NGOは指名がなかったものの、発言要旨はCSW事務局に提出してあるので趣旨はマトメの文書に組み込まれる見込みです。
関連の資料は国連womenwatch DAWのcsw45 のところにリンクしてあるはずです。
http://www.un.org/womenwatch から辿ってください。

3/13午後 --- 作業方法についての結論の討議では、欧州、ラ米の諸国が「革新的な方法であり先が見えないが、我々はここに仕事をしに来ているのだ。前に進めよう」ということを次々に主張しました。しかし、G77中国のポジションがまとまりきらない模様で、個別の議論は翌日に持ち越しになりました。

HIV/AIDS についてもインフォーマルの結論を討議するに至らず 3/14 午後から本格的な討議に入る見込みです。

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