Subject: [fem-women2000 437] NGOレポートを作る会報告会
From: Miho Takeshita <tmiho@twcu.ac.jp>
Date: Mon, 3 Jul 2000 22:54:35 +0900
Seq: 437


NGOレポートを作る会のニューヨーク会議の報告会が
7月1日、東京でありました。
簡単ですが報告の報告をします。

まず、12の重大問題領域のいくつかについて報告がありました(詳細なレジュメがあ
りました)。
ここではビデオ上映、報告者からの報告をもとになされた質疑、ディスカッションに
ついて
参加者として私が個人的に印象に残った部分だけを取りあげたいと思います。

日本政府のブリーフィング
会議場の「外のNGO」2000人のうち1/3は日本人だった。日本政府はそれを考慮し、会
議場外で週3回ブリーフィングを実施。政府の人的資源が足りない中でよくできたほ
うだった。誠意としてはわかったが専門的技術的内容に偏りすぎ、ほとんどついてゆ
けない。今後はもっと工夫が必要ではないか。あるいは「内のNGO」がブリーフィン
グをするなど内外の情報の行き来がもっと必要だった。「外のNGO」の存在も無駄で
はなく、日本の女性の活動、関心の高さなどを示せた。日本政府とは普段/事前から
のパイプ作り、情報開示を要求することも今後は必要では。NGOが求め続けないと対
応してくれないのでもう少し協力的関係が作れれば・・・。
NGOから3名女性が政府代表団に入ったが、全体として人材が足りない。忙しくてNGO
からの期待に応えるようなNGO政府代表団としての働きは困難だが政府から主張を拘
束されるわけではなく自分の意見も言える。日本政府は国内の女性の地位が相対的に
低いので、国際的場面で強く言えない(墓穴を掘ることになるから)。数値目標も入
れたくない。

女子差別撤廃条約 選択議定書採択へ向けて
現在、45カ国が署名している。日本はまだ。批准は3カ国。これからはNGOがまとまっ
てロビイングをしなければ。これは、法務省に陳情しても効果は期待できない。条約
署名は国会議員に訴えるべき。今後更に女性議員、フェミニスト議員との連携に向け
て戦略が必要(どなたかいいアイディアがあればご指摘下さい)。
((!女性の政治、意思決定機構への参加については、
50/50キャンペーン賛同への呼びかけもなされました!))

成果文書
私たちはこれからどのように活動をしてゆくのか。ニューヨークの会議とは何だった
のか。これをもっと議論する必要がある。国際的な議論を国内活動に、地域に、自分
の取り組む問題に落としてゆくこと、国内的NGOネットワーキング、今後の活動につ
いて等、十分に話し合われたとは言えない。
まずは今回の「成果文書」をしっかり読んでそれを今後はテコにして利用することで
はないか。「国際的合意」のとれた文書として上手に引用し、活用し、ロビーイング
や地域の行動計画、予算申請、活動の理論的根拠にしてゆくことがまずできることだ
ろう。
国連、政府はNGOに対してオープンになってきている。しかしそれが女性NGOの体制内
化、官僚化に向かってしまうのではないか。フェミニスト活動家が官僚やシステムに
取り込まれてしまうという危険性が感じられた。
先進国、途上国という二項対立構図ではなく、途上国の足並みの乱れ、先進国も主張
は様々。成果文書交渉では内容によって各国政府の離合集散が見られたようだった。
また、日本の政治、社会の国家主義的な動きは、今回ニューヨークで見たバックラッ
シュ、宗教的原理主義の傾向とも通じるものがあるのではないだろうか。

私の感想も既に上記に混じっているのですが一つ感じたこと。
国連、政府の市民社会に対する姿勢は1992年以降大きく変わっていると思います。
しかし「NGOの意見は聞くがそれをどう取り入れるかは官僚が決める」という実質は
変わっていません。
数値目標にしても例えば米の関税化の場合は国際交渉上他の貿易商品とのトレードオ
フもあり数値化を受入れるくせに、女性問題での数値化は避ける。いかに日本政府に
とって優先順位が低い課題か、国際的にも困難な課題かということが分かります。く
やしいような、もの足りない気がします。
政府とNGOが「良いパートナーシップ」をもっていると思われたくない、それは即ち
政府のアリバイ作りに荷担しているのでは、日の丸フェミニズムへ向かうのでは、と
いうこわさも感じます。
一方ジェンダーの主流化とは多少はそのような危険性をはらんでいるものなのだと覚
悟しておけば恐くないのでは、とも思います。楽観主義的すぎる?のかもしれません
が、NGOが協力的に批判的に互いを見ていくことが危機回避にならないでしょうか。

以上
竹下美穂

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    Miho TAKESHITA
Department of Communication
Tokyo Woman's Christian University
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