Subject: [fem-events 354] 日本のチベット支援運動とチベット情報サイト(ネットで読める証言など)
From: "SAKAI Takayuki" <sakai175@mb.infoweb.ne.jp>
Date: Thu, 5 Oct 2000 01:36:20 +0900
Seq: 354

【転載歓迎】重複受信の方はご容赦を。

アムネスティ日本のボランティアの坂井隆之です。

 アジアの真ん中に位置するチベットは、まちがいなく、世界で最も美しいと
ころのひとつです。苦労しても訪れる価値は必ずあります。

 首都のラサを含めて、ほとんど富士山より標高が高く、人間が定住する限界
といわれる高地で、ひとびとは生きています。平原には赤・黄・青の花々が咲
き誇り、もっと高い所へ行くと、ここは月か火星かと見間違えるような荒涼と
した風景が続き、そして5000m級の峠を越えると、雪を頂いた7000〜8000m級の
ヒマラヤの山々が目の前に迫ってきます。
 
 しかし、チベットでは、1950年の中国軍侵攻以来、120万以上の命が奪われ
ました。いまも数千人の政治囚が拷問や強制労働に苦しんでいます。このこと
は、日本では報道されていません。

1)チベット支援も、やっぱり「女性パワー」

  ほんの数人の女性の頑張りがなければ、今回の招聘企画は実現しませんで
した。ほんの数人の女性が発案し、仲間をつのり、インドと連絡をとり、ぐい
ぐいリードしなければ、とうてい実現しませんでした。

 チベット支援は、日本の市民運動の中でも、とてもとても小さな運動です。
日本は、政府もマスコミも、中国政府に対してあまりに弱腰です。それは「先
進諸国」の中でも際だっています。チベットの惨状は報道されていません。そ
れに加えて、日本の旧来の市民運動の大勢が、「社会主義国の人権弾圧」に抗
議することに消極的であったことは、否めないでしょう。

  そうした中、日本で、あるいはインド・ネパールのチベット難民居住区で、
チベット民衆のために地道に活動している日本人は、なんというか、「右でも
左でもない」ひとたちです。そして、チベット支援も、やはり「女性パワー」
です。アムネスティ日本のチベットチームもそうですし、アムネスティと協力
するNGO「ルンタ・プロジェクト」も、ほとんど数人の女性が切り盛りしてい
ます。

 チベット語から日本語への通訳が出来る人材は限られていますが、インド北
部のダラムサラで難民支援活動をしている高橋明美さんがゲストに同行して日
本に帰国し、ゲストふたりのうちひとりにずっと付き添って、通訳を務めま
す。

 もうひとりのゲストには、ダライ・ラマ14世講演集『愛と非暴力』(春秋
社)の翻訳者・三浦順子さんが前半の道中の通訳を担当します(後半はダラム
サラから日本人男性ボランティアが駆けつけて交代します)。

 難民の亡命チベット人が、中国政府の喜ばない活動のために日本へ来るの
で、来日ビザが速やかに発給されるか心配しました。このため、9月末、アネ
スティ日本の職員が法務省と外務省を訪れて要請しましたが、このときに同行
してくれたのは千葉景子議員(民主党)でした。

 どうしてわざわざこのようなことを書くかというと、チベットについては、
石原都知事が「ダライ・ラマに会いたい」と言って話題になったり、「従軍慰
安婦」や南京虐殺を否定するひとたちが、「チベット民族解放支援!」と言っ
ているからです。

 どの運動分野にも、右とか左とか、いろいろなひとたちがいて、ややこしい
問題があって、心労がかさんだりします。
 
 今回の企画の準備にあたっては、一切、「右や左」の助けは借りていませ
ん。借りなくても、やる気があれば、出来ます。そのことを、元気な女性たち
が教えてくれました。

2)便利なサイト(ネットで読める証言)

 インド北部のまちダラムサラ。そこにはチベット亡命政府があり、ダライ・
ラマ14世がいます。インド・ネパールに命がけで辿り着いた難民は、一度はこ
のダラムサラに来て、ダライラマ法王と面会します。このダラムサラで活動す
るNGO「ルンタ・プロジェクト」は、今回の企画で協力し合いました。
http://lung-ta.org/
そのサイトでは、亡命者8名の証言を読むことが出来ます。4名は女性です。
どのひとも、友人が拷問で息絶えるのを見ながら、どうにか生きて抜いて、イ
ンドへ辿り着きました。どれもずっしりと重い証言でした。

 「ルンタ・プロジェクト」日本事務所。通称、裏ルンタ。会社員の女性がほ
とんどひとりで切り盛りしています。サイトも充実。
http://member.nifty.ne.jp/lung-ta/
このサイトでは、来日するケルサン・ペモさんと、もうひとり、今春に交通事
故にあうまでは来日する予定だったガワン・ワンドゥンさんの紹介、それから
中国軍に対して武器を持って戦ったアデ・タポンツァンさん(女性・67歳)の
紹介も、読むことができます。
 ガワンさん(女性・22歳)は、15歳のときに6人でデモをして逮捕され、3年
間、服役しました。ひどい拷問が繰り返され、ガワンさんの友人は息絶えまし
た。ガワンさんが出獄してからその友人のご両親を訪ねるくだりは、涙なしに
は読めませんでした。このトップページにガワンさんの元気な笑顔を見ること
が出来ます。中国政府の支配下で拷問に苦しんでいるひとたちが、どうか生き
延びて、また仲間とつながり合えるように・・・。ガワンさんの笑顔を見る
と、そう願わずにはいられません。

 チベットについて、学問的に正確で、かつ、これほど面白いサイトは、あり
ません。早稲田大学講師の石濱裕美子さんのサイト「オカメインコの森」
http://webclub.kcom.ne.jp/ma/yfukuda/ishihama/index.html#mokuji
これは必見です。


日本語のチベット関係のサイトで最も充実しているといわれる「アイ・ラブ・
チベット」
http://www.tibet.to/
旅行情報から政治動向まで幅広く網羅しています。

「チベットニュースダイジェスト」
http://www.tibet.to/tnd/index.html
日本語で読めるチベット政治情報です。


チベット・インフォメーション・ネットワーク
http://www.tibetinfo.net/
ロンドンに本部のある独立系サイト。情報の正確さに定評。英文。womenの
ページもあり。

最後に、大事なところを。チベット亡命政府のサイト(英文)
http://www.tibet.com/index.html

ダライ・ラマ法王日本代表部事務所
http://www.netlaputa.ne.jp/~tibet-lo/
中国政府の顔色ばかり気にする日本政府から、政治的活動はしないように常に
圧力を受けています。この事務所が発行する季刊『チベット通信』は、貴重な
ニュースが満載です。これも、聞くところによると、ボランティアの女性がひ
とりで切り盛りして発行しているとか。

以上です。



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