Subject: [fem-events 1812] Fwd: [egyan_logistics:0484] シェイダさん裁判 判決は2月 25 日&シェイダさんの最終意見陳述を収録 ニュースアップデイト第 57 号
From: 攝津正 <aaf77610@pop17.odn.ne.jp>
Date: Sat, 20 Dec 2003 01:08:51 +0900
Seq: 1812

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以下 転送です。


Subject: [egyan_logistics:0484] シェイダさん裁判 判決は2月 25 日&シェイダ
さんの最終意見陳述を収録 ニュースアップデイト第 57 号

皆様 こんにちは。

 師走の候、皆様お忙しくお過ごしのことと思います。
 シェイダさん在留権裁判、昨日の弁論で、判決は2月25日午後1時15分からと決ま 
りました。提訴から3年8ヶ月、ようやく裁判所の判断を聞くことになります。
 また、シェイダさんから感動的な意見陳述がありました。全文を収録しましたの 
で、ぜひお読み下さい!
 では、判決の日に皆様とお会いできることを願っています。

チームS電子オフィス
稲場 雅紀

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シェイダさんを救え!ニュース・アップデイト
Save Mr. Shayda! The News Update

第57号 2003年12月19日発行(不定期刊)
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発行元 チームS・シェイダさん救援グループ
編集担当 チームS電子オフィス shayda@da3.so-net.ne.jp
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<今号の目次>

(1)歴史的な判決は2月25日午後1時15分から
 〜日本初の同性愛者の難民認定を巡る裁判の判決、ぜひ生で聞こう!〜

(2)いつ、どこにいても、愛する人に花を贈ることができる未来を
 〜シェイダさん最終意見陳述全文〜

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(1)歴史的な判決は2月25日午後1時15分から
 〜日本初の同性愛者の難民認定を巡る裁判の判決、ぜひ生で聞こう!〜
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 昨日(12月18日)午前10時より、東京地裁第606号法廷において、シェイダさん在 
留権裁判の第22回口頭弁論が開かれました。結審となるこの法廷では、原告シェイダ 
さん側、および法務省側が、この3年半の間に積み重ねた主張や証拠をまとめた最終 
準備書面を提出。そして、シェイダさんが第1審における最後のメッセージとして、 
最終意見陳述を行いました。

■判決は2月25日午後1時15分に

 この法廷で最も重要なのは、判決の日程が決まったということです。
 判決は、2月25日の午後1時15分。提訴から3年8ヶ月を経て、同性愛者が難民と 
して認められる権利を問うた日本初の裁判についに法廷の判断が下ります。皆様、ぜ 
ひとも判決に足をお運び下さい!!

■60ページにおよぶ最終準備書面を提出

 シェイダさん側の最終準備書面は、これまでの主張及び証拠を集大成したもので、 
合計60ページに及ぶ大作です。
 この裁判は、直接には日本の難民制度や入国管理体制について争うものですが、そ 
れだけでなく、世界の難民制度、同性愛者の権利獲得運動、イランやイスラーム世界 
の現代史や思想の結節点として存在してきました。この準備書面は、この裁判によっ 
て結び合わされている現代世界の多様な要素を大きく反映したものとなっています。
(書面の内容にご関心のある方は「チームS電子オフィス」までお問い合わせ下さ 
い:pinktri@kt.rim.or.jp)

■主張が鮮明になった法務省の最終準備書面

 一方、法務省の最終準備書面は30ページとシェイダさん側の半分、内容も法律論の 
みですが、これまでとの違いは、これまで法務省が曖昧にしてきた主張を鮮明にし、 
真っ向から勝負をかけてきたというところです。例えば、これまで「石打ち刑は拷問 
等禁止条約に違反するかどうかわからない」としてきたところを「石打ち刑は拷問等 
禁止条約に違反しない」と明確に主張してきました。
 「イランでは同性愛者は迫害されていない」「石打ち刑は拷問ではない」……この 
ようなことを鮮明に言って裁判に勝てるのかどうかはともかく、主張が鮮明になった 
のは、わかりやすくなって好ましいとは言えます。

■シェイダさんの最終意見陳述

 この法廷では、シェイダさんが最終意見陳述を行いました。シェイダさんはペルシ 
ア語で陳述し、原告側が推薦した通訳がこれを翻訳しました。
 次の項でシェイダさんの陳述の全文を掲載しますが、内容はペルシアの詩の伝統、 
第3世界の解放運動の伝統に従ったきわめて格調の高いものです。この陳述が法廷で 
行われたということだけでも、この裁判の歴史的価値はあると思います。是非とも次 
の項をお読みいただければ幸いです。

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■◇シェイダさん在留権裁判 判決言渡◇■
○日程:2004年2月25日午後1時15分〜
 (集合:12時45分 必ず1時までに来て下さい)
○場所:東京地方裁判所第606号法廷
(営団地下鉄霞ヶ関駅下車徒歩3分)

■◇シェイダさん在留権裁判 判決後記者会見◇■
○日程:2004年2月25日午後1時40分〜
○場所:司法記者クラブ(東京地裁2F)
※予定:変更があり得ます。

■◇第13回口頭弁論報告集会◇■
○日時(予定):2004年2月25日午後2時15分〜
○場所:弁護士会館5Fを予定
(営団地下鉄霞ヶ関駅下車、地裁裏)
※予定:変更があり得ます。
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(2)いつ、どこにいても、愛する人に花を贈ることができる未来を
 〜シェイダさん最終意見陳述全文〜
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 以下、シェイダさんの最終意見陳述です。日本の難民訴訟史上、また、同性愛者の 
権利運動史上、歴史的な陳述といえると思います。ぜひとも目を通していただければ 
幸いです。

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第22回口頭弁論(結審)最終意見陳述
シェイダ
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1 尊敬すべき裁判所の皆様、ここにお集まり下さった皆様に、ご挨拶申し上げます。

2 3年を越える歳月を、私は待ち続けました。そしてついに、裁判官のご判断をう 
かがうことができる日が、やってこようとしています。この長きにわたった年月の 
間、私の祖国、イラン・イスラーム共和国の体制、人間をうち砕き、死に至らしめる 
機械のようなその体制には、いささかの改革も見出すことはできませんでした。

3 裁判長殿。私たちが生きるこの時代には、人権に関わる問題は、いつも政治的な 
思惑によって、様々な圧力をかけられてしまいます。真実は、現在世界を動かしてい 
る政治権力に都合のよいことしか明らかにされず、人々に知らされることはありませ 
ん。人権に関わる問題は、既成のものの考え方を揺るがさない限りにおいてしか、正 
当なものとして扱われません。さらに、人々の心が既成のものの見方、考え方に捉え 
られ、それを当然のものとして受け入れていることが、このような現代世界の政治の 
ありかたを、さらに強固なものとしています。世界の国々は、人権のためと称して、 
豪華なホテルの洒落た部屋の中で会議を開いています。しかし、そこで彼らがやって 
いるのは、人権問題の重さを自国の経済的・政治的利益に都合がよいように変更し、 
第三世界と名づけて作り上げられた地獄がどれほど人権を遵守しているのか、高みか 
ら点数をつけることだけなのです。

4 裁判長殿。イランでは、同性愛者たちが生きてゆくことのできる環境は、法的に 
も、社会的にも、これまで存在したことはありませんでしたし、今もなお、存在しま 
せん。日本の法務省はその書面で、テヘランにある「ダーネシュジュー公園」という 
公園について、「イランの同性愛者たちが集まる場所だ」と指摘しましたが、いまや 
この公園は、イスラーム寺院の公園へと変えられようとしています。それ以前にも、 
この公園は、同性愛者ではなく、イスラーム革命防衛隊、革命委員会の兵士たちが集 
まる場所でした。イランにある、ほかの大きな公園でも、今ではイスラーム寺院が建 
設されつつあります。

5 裁判長殿。同性愛者を処刑する法律は、私たちイランの同性愛者たちの首に押し 
つけられた刃であり、私たちは、毎秒のように、その刃が今にもこのうなじに振り下 
ろされるのではないかと怯えながら生きてゆくことを強いられています。同性愛者た 
ちが健全に生活をすることができる環境はまったく存在せず、社会は同性愛者たちと 
向き合い、話しあおうという意志も持ちません。もっとも近しい人たちにすら、私が 
誰で、どのように感じているのかを、うち明けることが出来ないのです。このような 
場所で生きている私たちに対して、なぜあなた方は言うことができるのですか、イラ 
ン人同性愛者は、難民ではない、と。

6 裁判長殿。イランのイスラーム体制に対する抵抗組織で活動するということは、 
拷問と死刑の危険にさらされるということを意味します。何千人という政治犯が大量 
虐殺されているのをご覧になれば、それはすぐにおわかりになるでしょう。よろしけ 
れば、あなたご自身でイランにいらしてみて下さい。あの国に入国したまさにその瞬 
間、おわかりになるはずです。イランでは、不安を抱くことなく、ただ気楽に通りを 
歩くということすらできません。イスラーム革命防衛隊、風紀監視隊、民衆動員軍、 
警察、革命警備隊などが絶えずパトロールしており、イランをまるで巨大な牢獄のよ 
うにしているのです。まさにそれは、サルバドール・ダリが描いた、空想の城壁のよ 
うです。どんな場所でも、ちょっとした片隅にさえも、牢獄の壁があり、看守が立っ 
ています。そして、個人の生活のもっとも些細な部分にさえ、介入してこようとする 
のです。

7 裁判長殿。1951年に発せられた難民条約の第1条で、難民は、次のような人間で 
あると定義されています。「[難民とは、]人種、宗教、国籍、特定の社会的集団の構 
成員であること、および政治的意見により、十分に理由のある迫害の恐れを有するた 
め、国籍国の外におり、国籍国の保護を受けることができない、もしくは保護を受け 
ることを望まない者である。」 この条項に従えば、同性愛者であり、そしてイラン 
人の同性愛者人権擁護団体「ホーマン:イラン同性愛者人権擁護グループ」の活動家 
である私は、難民に他なりません。難民として認められることは、私の権利なので 
す。

8 裁判長殿。誰でも人間であるなら、生まれながらに人を愛し、自分の意志に従っ 
て生きる権利を持ち、そのすべをそれぞれの人生の中で、自然に学んでゆくもので 
す。しかし私は、母国において、この人間の基本的な権利さえ与えられず、どのよう 
に愛し、生きればよいのかを、考えることさえも許されていませんでした。私は願っ 
ています、裁判所の判決が、恐怖も不安もなく、自由に生き、自由に愛することを学 
ぶ権利を、私に与えて下さることを。私は願っています、私の裁判の判決が、未来の 
ための第一歩となることを。その未来とは、あらゆる人が、誰に対しても、どのよう 
な場所においても、愛する人が欲しいと思う花を贈ることができるような未来。花を 
贈られた人が、世界のどこにいようと、微笑んでお礼を言うことができるような未 
来。そして、その時、その微笑は、その人の一番美しい微笑であるという、そのよう 
な未来です。自らの意志によって生き方を決めることができ、投獄や死の恐怖に怯え 
ることもない、そのような未来です。

9 私が今日ここで最後の意見陳述をする時間を与えて下さったことに、心より感謝 
いたします。そして、ここに集まって下さった方々、私の話に耳を傾けて下さったこ 
とに、心よりお礼申し上げます。
(原文ペルシア語)

***ニュースアップデイト58号は近日中発行の予定です***




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