Subject: [fem-events 1186] 社会起業家の講演、各地で
From: Satoko Matsuura <satoko@jca.apc.org>
Date: Sun, 23 Jun 2002 01:23:28 +0900
Seq: 1186

                   http://www.jca.apc.org/fem/news/events/
                   |    お知らせ & イベント    |
                   └――─ fem-events@jca.apc.org ―――┘

松浦です、アメリカNPOの社会起業について先進事例を語るために
今、クリス・ダイグルマイアーさん(ジュマ・ベンチャーズ 最高計画責任者)が
各地を講演旅行中です。

以下、今日以降のスケジュールです。名古屋、福岡、東京会場があります。
どうぞ、お近くの会場にお運びください。
昨日の京都会場は満員になり、参加者の多くが期待以上、と
満足してお帰りになりました。

以下、招聘の仲介者、岡部一明さんの御案内から。
御本人の御了解で掲載しました。

>
>6月23日(日)
>1:00-3:00pm 名東区教育文化フォーラム講演
>場所:東邦高校大会議室
> 〒465-8516 名古屋市名東区平和が丘3丁目11番地
> 電話: 052-782-1171  FAX: 052-782-7151
> E-mail: t-mail@toho-h.ed.jp (担当:浜田)
>参加費なし
>後援:名東区役所、東邦学園大学・短大
>
>6月24日(月)
>ジュマベンチャーズ講演会
>第1部
>2002年06月24日(月) 16:00〜18:00
>九州大学文系キャンパス 101教室
>九州大学大学院法学研究院・今里研究室 同人間環境学研究院・安立研究室 共催
>
>第2部
>2002年06月24日 (月) 19:00〜21:00
>都久志会館 (福岡市中央区天神4-8-10 Tel. 092-741-3335)
>主催 NPOふくおか (福岡市東区箱崎1-31-3 Tel. 092-633-3966)
>参加料 お一人様1000円 (npo-fuk@try-net.or.jp)
>
>
>6月25日(火)
>13:00〜15:00
>名古屋大学経済学研究科・名大MBA主催セミナー
>ソーシャル・アントレプレナー(社会起業家)
>〜ジュマ・ベンチャーズから学ぶ〜
>会場:名古屋大学国際開発研究科 多目的オーディトリアム(8階)
>(交通:地下鉄東山線「本山駅」から徒歩15分、又はバス5分)
>(地図:http://www.nagoya-u.ac.jp/sogo/higasiyama.html 上のNo.45)
>入場無料
>主催 名古屋大学経済学研究科経営管理学修士コース運営委員会
>後援 東邦学園大学、市民フォーラム21・NPOセンター、
>   パートナーシップ・サポートセンター
>問合せ先:名古屋大学経済学研究科 MBA Admissions Office
>             Tel.052-789-5713
>
>
>夜、日本ベンチャー学会女性部会講演
>7:00-9:00pm 渋谷「こどもの城」セミナー室
>連絡先:ハッピーコム
>代表取締役  戸田江里子
>〒107-0061東京都港区北青山3-9-9-10B
>tel:03-5778-3055  fax:03-5778-3054
>e-mail: toda@happycom.co.jp
>http://www.happycom.co.jp
>


 来るのはサンフランシスコでホームレス青少年たちのためにビジネス型自立支
援活動を行なっているジュマ・ベンチャーズのクリス・ダイグルマイアーさんで
す。問題をもった青少年たちに単に福祉サービスを提供するのでなくて、自分た
ちでビジネスを起こして自立していく道を目指す。障害者その他社会的に不利な
立場に置かれた人たちが、単に福祉に頼るのでなく、ビジネスで自立していく。
社会的なミッションとビジネスを結びつけて新しい社会的事業を起こす人びとを
「社会起業家」(Social Entrepreneur)と呼び、今アメリカで活発化してきて
います。ジュマ・ベンチャーズはその中でも最先端。昨年には、こうした非営利
ビジネスを育てるたインキュベーターを設立し、青少年起業支援を全面化させて
います。

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〒465-8515 名古屋市名東区平和が丘3-11
東邦学園大学経営学部地域ビジネス学科
  岡部一明 (NPO論)
電話:052-782-1530
電子メール:kokabe@econet.org
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ジュマ・ベンチャーズ(Juma Ventures)
http://www.jumaventures.org/
 新庄がグランドでホームランを打つ時(あるいは三振する時)、スタンドでア
イスクリームを売っているのはだーれだ?
 答:ジュマ・ベンチャーズでベン&ジェリーのアイスクリーム販売をはじめた
少年たち!
 ジュマ・ベンチャーズは14才から29才までの低所得、又は問題をかかえた青少
年に雇用機会と職業訓練の場を提供するNPOビジネス。アイスクリーム店など
5つのビジネスで150人以上の青少年を雇い、年商100万ドルを越える。サンフラ
ンシスコ・ジャイアンツの本拠地パックベル球場でも売店を出す他、スタンドで
アイスクリームなどを売る。「ジュマ」は西アフリカ・ガーナのアカン語で「仕
事」の意。
 ホームレス青少年の支援組織「ラーキン街青少年センター」(LSYC)の内
部プロジェクトとして1991年に発足。96年に正式独立。「ビジネスを長期的な社
会変革の手段として用い、それによって青少年に雇用を提供し、職中での本格的
な職業訓練、広範囲の生活技術学習、責任ある大人からの身近な支援、積極的な
未来に進む機会を保証していく」ことを目的にする。
 まず1994年に第1号ビジネス「屋台のアイスクリーム」(Ice Cream on
Wheels, ICOW)を設立。地域の祭りや催し物会場などで小さいカートでアイスク
リームを売るビジネスだ。次いで95年春から96年春にかけてサンフランシスコ市
内に3つのアイスクリーム店舗をもつ。社会貢献企業もしくは社会的責任企業と
して有名なアイスクリーム・チェーン「ベン&ジェリー」(全米120店舗)との
パートナーシップによるものだ。チェーン店をジュマベンチャーズが請け負い、
青少年が運営する。
 同じくこの時期、球場でのアイスクリーム販売事業にも乗り出す。サンフラン
シスコ・ジャイアンツの本拠地3COM球場内の売店及び流し販売だ。現在は新
しく市内に建設されたパックベル球場でも同ビジネスを行なう。ここを本拠とす
るサンフランシスコ・ジャイアンツ球団、フットボールのフォーティー・ナイナ
ーズ球団はいずれも社会的貢献を積極的に行なう企業として有名である。
 2001年からは、青少年向けビジネス・インキュベーター「事業センター」(E
C)をはじめた。ハイテク産業も含め範囲を拡大した起業支援。センターは全米
最大のマルチメディア産業集積地「マルチメディア・ガルチ」(サンフランシス
コ中心部のSOMA地区)にあり支援を受けやすい。アメリカには現在約900の
ビジネス・インキュベーターがあり(下記参照)、起業家経済の牽引力になって
いる。社会ベンチャー型のインキュベーターはこれがはじめて。

クリス・ダイグルマイアー(Kriss Deiglmeier)
 ジュマ・ベンチャーズのチーフ・ストラトジスト(最高計画責任者)。1963年
生まれ。シアトル地域で育つ。カリフォルニア大学バークレー校経営大学院卒
(MBA)。ラーキン街青少年センターの運営ディレクター、ユナイテッドウェ
イ(キング郡)の企業寄付キャンペーン・ディレクターなどNPOでの活動の他
、百貨店ノードストロームでのマネジャー経験もある。過去5年間はジュマ・ベ
ンチャーズで活動し、97年1月から01年12月までの最高運営責任者(COO)時
代に、ジュマベンチャーズを100万ドルから530万ドル規模の組織に成長させた。
現在チーフ・ストラトジストとして組織全体の舵取りを行なう。特に社会起業ビ
ジネス、インキュベータ事業に責任をもつ。夫との間に二児。

-----社会起業、社会ベンチャーとは----
 社会問題に対して、ビジネス的なアプローチで対応する非営利事業活動。NP
Oの中にビジネス原理を取り入れる最近の傾向の典型事例。例えば、福祉分野の
NPOなら、不利な立場におかれた人たちが福祉サービスに依存するのでなく、
積極的に自分たちのビジネスを起こして自立をめざす。ハイテク産業やベンチャ
ービジネスの盛んなサンフランシスコ、シリコンバレー地域で特にこの種の活動
が活発で、「ベンチャーフィランスロピー」を目標に掲げるロバーツ事業開発基
金(REDF本部サンフランシスコ、http://www.redf.org/)が、有力な社会起
業家支援組織として知られる。
 社会ベンチャーの中では、確かに多くの付加コストがかかり、純ビジネス的に
は利益が上がるとは言えない。職業訓練、カウンセリング、生活支援、その他様
ざまな付加サービスが必要であり、そのスタッフ人件費がかかるからである。し
かし、それは狭い市場内だけの計算であって、社会全体を見れば、福祉依存が軽
減されて行政コストが削減され、新たな税収が生まれ、人々が積極的に自立を目
指すことによる本人、家族、地域への計測不可能な社会的便益もある。社会総体
の立場から、公共資源を含めたリソースがどう効果的に動員されるかをみたとき
、その非営利ビジネスの社会的経済合理性がよく把握される。そうした社会経済
的な立場からのイノベーションを目指すのが社会ベンチャーである。
 ちなみに、ロバーツ事業開発資金は、サンフランシスコのプレシディオ公園の
中、社会変革財団として有名なタイズ財団設置のソーロー・センターの中にある
。このタイズ財団(http://www.tides.org/)はアドボカシーNPOに社会ベン
チャー原理を導入した代表事例で、ベンチャー・フィランソロピーを実践すると
ともに、米最大規模のNPO育成インキュベーターを運営する(タイズ・センタ
ー、300団体以上が加入。岡部一明『サンフランシスコ発:社会変革NPO』御
茶の水書房、2000年、参照)。また、このセンター内に全米の社会起業家の連合
体「社会ベンチャーネットワーク」も入っている。
 ジュマ・ベンチャーズは、REDF助成事業の発端となった非営利ビジネスで
あり、その主要「投資先」のひとつである。

----インキュベーターとは-----
 立ち上げ起業を支援する事務所センター。アメリカの活発な起業家経済を支え
る秘密と言われ、全米に約900のビジネス・インキュベーターがある。立ち上が
りの困難な時期に、安価な共同事務所を提供し、会議室、コンピュータ、コピー
機その他設備を共用し、さらに経営アドバイスや会計サービスを行ない支援する
。全米ビジネス・インキュベーター協会(NBIA[http://www.nbia.org/])に
よれば、75%がNPO運営によるもの。地域おこし非営利ビジネスとしての性格
も強い。1998年の調査によれば、インキュベーターは北米でこれまでに19,000の
新しいビジネスと245,000の雇用を創出。平均3300平米の事務所スペース(共用
部分含む)に平均20の小ビジネスが入る。ジュマ・ベンチャーズは、社会ベンチ
ャーの分野にこのインキュベーター・モデルを取り入れた先進事例。(タイズセ
ンターは、アドボカシーNPOにインキュベーターを導入した事例。)
 日本新事業支援機関協会(JANBO)によれば、日本には2002年2月現在113のイ
ンキュベーター施設がある。内、非営利が90施設(79.6%)、営利が23施設
(20.4%)。
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