大使閣下；
　私たちは、日本の刑事拘禁施設における人権擁護と、死刑制度の廃止のために活動 している非政府組織です。

　新聞報道などによれば、貴国において、おおぜいの被拘禁者が、非人間的で暴力的 な処遇に抗議し、２か月以上に渡ってハンガーストライキをしてきたと報じられてい ます。悲しいことに、その中で12名もの尊い生命が失われたとも報じられています。 貴国政府当局が、彼らの要求に一定の理解を示し、ハンガーストライキや街頭での抗 議行動が収束に向かいつつあると聞いて、ほっとするとともに、大きな犠牲をはらっ た今回の出来事の教訓を、貴国政府がふかく汲み取り、獄中での拷問、非人道的な取 り扱い、政治的な弾圧が今後けっして起こらないように努力して下さるよう、強く要 望いたします。言うまでもなく、今回のハンガーストライキなどの一連の抗議行動に 関連して、獄中者やその家族などが不利益な処分を受けたり、精神的、肉体的、経済 的に圧迫をうけることのないよう、配慮していただくようお願い申しあげます。

　われわれは、貴国政府が批准された国連「拷問等禁止条約」の精神に基づき、世界 各国の人権団体とともに、貴国における刑事拘禁施設内の人権状況の改善に今後とも 注目し続けていきたいと考えています。

監獄人権センター(Center for Prisoners' Rights)
〒160 東京都新宿区新宿愛住町12 藤栄マンション3B
Tel & Fax 03-3357-6304

代表　村井敏邦 Toshikuni Murai（一橋大学法学部教授）
事務局長　海渡雄一 Yuichi Kaido（第二東京弁護士会）