ペルーの首都リマにおいて、日本大使公邸がトゥパク・アマル革命運動の武装グループによって占拠され、人質がとられたことは、周知の通りである。監獄人権センターは、この事態そのものに対してコメントする立場にないが、ペルーにおける監獄の人権状況の改善のために、1997年1月7日、以下のような申し入れ書を、東京のペルー大使館あてに送った。
ペルー共和国日本大使館
ビクトル・アリトミ大使閣下
MRTAは、ペルーの監獄において、反テロ法や反逆罪で逮捕された囚人および、その他多くの一般の囚人が、きわめて非人道的で、ペルーの憲法に照らしても適法とはいいがたい処遇を受けていると主張し、自分たちの仲間の釈放や、処遇改善を要求しています。貴国の法律に従って、適法に逮捕、拘禁されている者を、人質を取って釈放を強要することが許されないことは言うまでもありませんが、彼らが主張しているように、貴国において、容疑の不十分な逮捕や、被告の防衛権の侵害、また囚人に対する、拷問などの非人道的な処遇が行われているとすれば、それもまた許し難いことです。
われわれと同様の目的で活動している国際人権組織、Human Rights Watchやアムネスティ・インターナショナルは、貴国における監獄の人権状況を調査し、それぞれレポートを発表していますが、それらを見る限り、貴国の監獄における囚人の取り扱いに国際的な基準を満たしていない部分が多々あることは否定できません。
また、赤十字国際委員会も、今回の事件が起こって以降、それまで許されていた囚人に対する面接調査が許可されなくなったことに不満を漏らしています。
また、現在300名にのぼる囚人が、ハンガーストライキに入っている、とも伝えられ、私達は、彼らの健康状態を危惧しています。貴国政府のしかるべき当局が、ハンガーストライキを行っているものに対して、適切な医療を提供し、人道的な対処を行い、決して、懲罰などの手段をとらないようにお願いします。
どうか、私達の以上のような申し入れを、大使閣下から、フジモリ大統領閣下にお伝えくださるよう、心からお願い申しあげます。平和的な解決に向けての貴国政府の努力に敬意を表します。
1997年1月7日
監獄人権センター
事務局長 海渡雄一(弁護士)
神奈川県川崎市高津区溝口138
シマザキビル2階
福島武司法律事務所気付
TEL & FAX 044-844-7211
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