貴国における死刑執行に強く抗議します


 昨年12月30日、貴国において23名もの大量死刑執行が行われたと聞き、驚きと憤りでいっぱいです。
報道によれば、貴国法務部の当局者は、執行を待つ死刑囚の数が増え、拘禁施設の収容能力がおいつかなくなったことを大量処刑の理由としてあげています。人命を奪う極刑の執行を、施設の収容能力から決定するとは、驚くべきことです。
 死刑廃止国はすでに98か国を数え、95の存置国を凌駕して、世界の趨勢が死刑という野蛮な制度と手を切って行こうとしていることを示しています。そうした時に、非人道的な処刑が行われたことは、国際社会での貴国の名誉を自ら傷つけるものであり、残念でなりません。
 貴国内でも、多くの市民や宗教者が死刑執行に抗議したと聞いています。また12月31日にはアムネスティ・インターナショナルが声明を発表し、貴国の死刑が秘密主義的・恣意的に行われている実態を指摘しました。いつ誰が執行されるのかは、当局の恣意のままであり、そのために死刑囚はつねに執行の恐怖にさらされつづけています。これはまさに死刑に加えて、執行前に拷問を加えているに等しい残虐で異常な刑罰と言わざるを得ません。
 貴国政府が、国内外の世論に真摯に耳を傾け、今後いっさいの死刑執行を行わないように強く要請します。また、金大中次期大統領閣下に、自らが体験した死刑制度の残虐性にかんがみて、大統領就任とともに、ただちに死刑の廃止のために必要な措置をとられるように、お伝え下さい。