その日も運動が午後になった。今日も死刑の執行がある。看守たちのそぶりが何よりも雄弁にそれを語っている。自分でないことは確かだったが、ちょうど、神経がたかぶりにたかぶっていたときだけに、孫は窓によじのぼって、「いま、大阪拘置所で死刑が執行されてるぞ・・・・・・」「いま大阪拘置所で・・・・・・」と声をかぎりに叫びつづけた。孫の監房から怒鳴ると塀の外の通行人に聞こえるのはもちろん、刑場へもつつぬけである。すぐさま孫は窓から引きずりおろされたが、興奮のあまり、ドアが開いたのにも気がつかなかった。