総理府が先月27日公表した死刑制度に関する世論調査で、死刑制度を容認する人が79・3%と過去7回の調査の中でも高率となった。しかしこの世論調査は不適切な設問と死刑制度についての十分な情報を与えないで行った結果であり、実態を著しく歪めている。この調査結果を受け、また国会閉会後に死刑を執行するのではないかと予測があった。 法務省に対しアムネスティをはじめ多くの団体・個人から執行をしないように強く要請をしていた。また、死刑確定囚が再審請求中であったり、人身保護請求に対する答弁書を待っている段階にもかかわらず法務省は死刑執行を強行した。これは死刑確定囚の人権を保障するためにあらゆる法的措置を講ずる権利行使の道を閉ざすものであり、到底容認する訳にはいかない。
死刑確定囚は、長年にわたって独居拘禁下に置かれ、看守以外の外界の人間との接触を最小限に制限されている。多くの死刑確定囚は、過酷な拘禁状態のために心理的に問題を抱えている。死刑判決が確定してから、常に執行の恐怖にさらされ、家族や弁護士に対しても執行前に面会さえも許されていない。次に誰が処刑されるのかを知る術もない。このように、日本における死刑は秘密主義の徹底のなか、恣意的に適用されており、残虐な、非人道的かつ品位を傷つける取り扱いであり、日本政府が批准している国際人権規約や拷問等禁止条約にも違反している。私たちは、日本政府が、
1998年11月、国連の自由権規約委員会によって「市民及び政治的権利に関する国際規約(自由権規約)」の実施状況を監視する5年に1度の審査が行われた。その最終所見の中で、日本に対し数々の規約違反を指摘された。自由権規約委員会は、死刑が適用される犯罪の数と質についての懸念を表明している。また、外部交通権(面会と通信)の過度の制限と、死刑の執行について家族に事前告知を行なっていないことについて、それらが自由権規約と相容れないとの見解を示している。
死刑制度は残虐な刑罰であり、そもそも国家であろうと人を殺す権利はない。私たちは、今回の死刑執行に強く抗議するとともに死刑執行を直ちに停止し早期に死刑廃止が実現するための措置を講ずることを強く要請する。
1999年12月17日