軍隊を捨てた「コスタリカ」ってどんな国
―コスタリカ「平和の旅」報告集―

■コスタリカ現在の知るための必読の書

 このほど軍隊を捨てた「『コスタリカ』ってどんな国―コスタリカ『平和の旅』報告集―」が出版された。同報告集は、「軍隊を捨てた国コスタリカに学び平和をつくる会」(代表:中山武敏・児玉勇二)が、会員有志に参加を呼びかけ、2003年1月6日〜同15日までの10日間コスタリカを訪ねた市民手作りの報告集。

 報告書はB5版132ページ、表紙と本文一部カラー。内容は2部構成でコスタリカの歴史資料も付記されている。第一部は公式訪問記・交流記、第2部はコスタリカってどんな国。各ページとも写真を多く使っており、文字が多少小さいのが難点だが、読みやすいレイアウトとなっている。第一部の「公式訪問」で訪ねた所は、公教育省、国立先住民院、新聞記者協会、国立子ども病院、国立ビハビリテーションなど9機関・施設に及ぶ。施設ごとに、それぞれが訪問団チームを組んで話を聞いた内容が詳細に語られていて、コスタリカという国の現在の好い所も悪い所も一読してわかる内容となっている。

 内容の一部を紹介すると、たとえば、公教育省を訪ねた時の報告、「教育のおかげで」コスタリカがあります! の項は、訪問団チームの一人、橋本左内さんが、コスタリカの歴史から説いて、質議応答、まとめ、結語までを報告している。その中の小学校教師へのインタビューで、コスタリカの学校の教育方針・使命について質問された、スタイラ・モルガンさん(カリキュラム課・課長、女性)は「幼稚園につづく(就学前教育)、小学校低学年(1〜3年生)、同高学年(4〜6年生)、中等教育(7〜9年生)までが義務教育です。高等教育・職業教育は2、3年です。これらのすべての期間を通じて、教育の軸としていることは『価値観』を育てることです。環境を保護すること、例えば、木を切らないことなどです。もう一つは民主主義ですが、理論としてではなく実践的に、日々の生活の中で習得させるのです」と、答えているが、このように、日常的に交わされる会話のなかでさえ、公教育省が教育の現場で環境や民主主義教育を不断に志向している姿勢が明瞭に見てとることができる。

 第二部の「コスタリカってどんな国」では、訪問団に参加した19人の見たまま、聞いたまま、感じたままの率直な感想文集となっている。そのほか、訪問団に参加しなかった「学ぶ会」会員たちの感想文も合わせて掲載されている。

 資料編は「コスタリカ共和国の主要データ」「コスタリカの共和国憲法の抜粋」「コスタリカ共和国の平和貢献大統領の功績紹介」「コスタリカ略年表」など、コスタリカの基本的な歴史データがコンパクトにまとめられている。とくに「コスタリカ略年表」ではコスタリカの歴史と同時期の日本の歴史があわせて載っており、コスタリカの平和と人権を追求する歴史に対して、日本のそれは軍隊派遣への行程表が着々と進められていることが一目瞭然として認識させられる。

 その他、詩人・小関秀夫さんの2編の詩「小児病棟」「星のこもれ陽」が心を打つ。コスタリカの庶民生活をスケッチした「コスタリカ事情」と題したコラムもおもしろく、とかく堅くなりがちな報告集とは一線を画した充実した楽しい内容となっている。

 なお、「軍隊を捨てた国コスタリカに学び平和をつくる会」(略称:コスタリカに学ぶ会)は2002年5月6日に東京・代々木の「オリンピック総合センター」で開催した「映画『軍隊をすてた国』を見て、コスタリカの話を聞く会」という催しの成功を機に、継続してコスタリカの平和や民主主義を学び、わが国発「世界平和の新しい風」を送り続ける会として発足、定例の学習会や講演会などの活動を行なっている。


●同報告集は、1册2000円(税なし)。残200部少々、関心のある方は、下記にお早めにお申し込みください。10冊まとめてお申し込みいただければ、送料当方負担でお送りします。もちろん1冊からでもお送りいたします。下記の電子メールもしくはファクスで申し込みを受けます。

●申込先
〒104−0061東京都中央区銀座3−3−6銀座モリタビル4階
児玉法律事務所(杉浦ひとみ)
TEL:03−3535−2754
FAX:03−3535ー2755
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