A君とB君の会話

コスタリカの非武装は日本の参考になるのか?

A:世界には非武装の国ってあるのか?
B:ある。例えば、中米の国コスタリカだ。1949年憲法で軍隊を廃止し、以来、53年間非武装を続けている。そして、1983年には、時のモンヘ大統領が「非武装中立宣言」をした。今までに、60回以上の憲法改正を経ているが、この非武装条文だけは一度も変更されていない。

A:でも、コスタリカは国土も小さく、人口も少ない。コスタリカのようにはなれない。
B:そんなことはない。軍隊を廃止し、中立を宣言することは、米国の「裏庭」と呼ばれた中米の小国であるコスタリカの方が大変だった。
 事実、80年代の隣国ニカラグアの内戦の際には、右派ゲリラを支援する米国のレーガン政権が飛行場建設の援助を示すなど取り込みを図った。モンヘ大統領が、その米国の圧力をかわすために「中立宣言」をした面もある。
 モンヘ大統領は、「宣言の直前にペンタゴン(米国総務省)の人が私のところにきて、宣言をやめてほしいと言った。けれども私は受け入れなかった。しかし、ペンタゴンは反対したが、民主党などは我々を支持した」と語っている。
 日本の周囲の環境は当時のコスタリカよりもずっと平和的だ。
 さらに、コスタリカの国際法学者バルガス氏は、「日本は永世中立宣言をすべき。日本はアジアで永世中立宣言ができる第1の候補国」と語った。その理由は、「(1)被爆国である。永世中立宣言により核の廃絶の意義が増す。(2)高い教育水準(3)経済力」であるという。
 また、日本もコスタリカと同様、中産階級が人口の圧倒的多数を占める。
 バルガス氏は、「コスタリカとは国の規模や取り巻く環境が違うから日本は永世中立宣言をできない、とする意見には、理由がない」という。このバルガス氏の言葉を回答にかえる。

A:アメリカの圧力などがある中で、どうやって非武装中立をつらぬけているのか。
B:まず、外交努力がある。駿河台大学非常勤講師はの竹村卓士は、(1)米国の動向の冷静な見極め(2)国際的サポーターの獲得(3)それを可能にした平和追求の継続的実践、であるとする。国際平和大学や米州機構内の人権裁判所を誘致したのもそういった戦略の一貫なんだ。
 一方で、国内では、民主主義の実現と人権保障を第1の目的に、教育を充実させる。
 この国内外双方での努力があるからこそ、内外ともに認める「民主人権国家」として成功した。このようなコスタリカを攻める国はないし、中立を非難する声もあがらない。
 米州機構の一員であることも積極的に作用しているだろう。


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