□ 事業報告(共同事業) 
県民・NPOと県立現代産業科学館の協働による 「三番瀬・盤洲 干潟展」の開催

入口の案内板の「カニ!カニ!」で駆け込む子どもたち、親子連れ、何かの見学団体、土、日は若者や家族づれ、シンポジウムに来られた人たち、孫を博物館に連れてこられたお年寄り、本当に大勢の、いろいろな方々と毎日接して干潟展を見ていただきました。
2005.2.19〜27、干潟の水ぬるむ春に先がけて、地域の課題に取り組むNPOや県民から企画提案し、県立博物館との共催による企画展示を開催しました。今回は県民の関心が大きい「三番瀬・盤洲 干潟展」を企画し、写真展を中心に現存する干潟の大切さを県民に呼びかけました。
ボーンセンターは14団体と県民からなる主催実行委員会の事務局として、県文化財課や共催の現代産業科学館、ご協力を頂いた県立上総博物館とともに協働作業を行いました。開催に至る経過は最終部分に記しますが、ボーンが継続して関わってきた事業の推進であり、また、中間支援NPOとして市民活動、市民参加を支援するものでした。

「三番瀬・盤洲 干潟展」の入り口

〔展示内容〕

「干潟は生き物のゆりかご」をテーマに、
@干潟や干潟の生き物と人のかかわりの写真・パネル・絵画・和歌など200点
Aかつて干潟で利用されたアサリ採りやノリづくりの道具
B干潟の生き物
C市民調査研究発表
Dカキによる水質の浄化実験 など。
体験・遊びコーナーでは、
@子供カルタ遊び
Aパネルクイズ
B砂絵づくり
Cアサリくじ
Dクイズラリー
Eお持ち帰りの貝殻 など。

三番瀬・盤洲干潟のさまざまな動植物や流域の写真、絵画など、約200点を展示。

カキを水槽や瓶に入れ、カキの浄化能力も実験して見せています。瓶に砥の粉(とのこ)を入れて海水を汚し、30分経過すると、海水がすっかり透明になります。カキの浄化能力のすごさが目でみてわかります。

展示準備にあたり、現代産業科学館がボードを配置しておいてくれたことや、適切な対処があり、上総博物館から借用した資料も梱包済みにしてくれてあったりでスムースにできました。

関連企画として、@シンポジウム「どう守る!干潟の生きもの」(シンポジウムの概要は「三番瀬を未来に残そう」のホームページをご覧下さい)、A「アユが結ぶ−東京湾・江戸川・利根川トーク」も映像ホールで開催されました。
シンポジウム終了後に高木副館長と現代産業科学館2Fを実験と面白トークで巡る特別企画も行われ、「科学と自然との接点を大切にしたい。」との高木副館長のご挨拶も干潟展へのはなむけとなりました。

シンポジウムには60人が参加。

 

関係者による展示への相互評価も行いました。
○個々の改善点を次回に生かしたい。
○見せる工夫を普段から博物館で学ぼう。
○参加型の工夫や会場で質問や対話が行われていた。
○盤洲干潟の東京湾の原型、失われ行く植物群落、カキ礁やラムサール条約ほか、話題の展示が多く、県や地元の行政も来場していた。
○新聞やテレビ・ラジオも取り上げてくれて来場者が増え最終日は、びっくりするほど大勢だったこと。
など挙げられました。

今後の課題としては、博物館の資料の保護と活用について、NPO団体への貸し出しの基準は?主催団体の責任能力、共催者との責任範囲など具体的な事例を通して直面しました。
来場者のご意見やアンケートでは、テーマ・展示に多数の関心が寄せられました。
全体評価としては、今回、NPO側も、博物館側もお互いに協働への一歩を踏み出したことが評価されました。また、博物館側もNPO側もこれまでとは違う人が来館されたり、展示を見ていただいくことができて良かったと双方から挙げられました。
「大切にしたいものがある」から活動を続けてきたNPOにとっても、底力を結集した「三番瀬・盤洲 干潟展」でした。

〔開催への経緯〕

2002年度に千葉県が県立博物館の有料化・統廃合等の博物館構想を発表した際、千葉県自然保護連合とNPO法人千葉まちづくりサポートセンター(以下ボーンセンター)が県民やNPOに呼びかけて県民提言書を作成し、行政、博物館、県民が博物館の未来を一緒に考えるシンポジウムを開催しました。その提言の中に県民とともに地域の課題に取り組む開かれた博物館像が示されました。

2003年度にはボーンセンターが企画提案した、県の委託事業「県立博物館の新しい価値の洗い出しと評価尺度づくり」の調査研究を行いました。この一連の流れを受けて、県民と県立博物館が協働する企画展の開催機運が盛り上がり、千葉県自然保護連合とボーンセンターの呼びかけに応じたNPOや県民の有志により2004年度に、「三番瀬・盤洲 干潟展」実行委員会が結成され、博物館側担当者と打ち合わせを重ね、開催の運びとなりました。
県民と響きあう博物館をめざして、今後さらなる協働企画・運営が進むことを願っています。

※この企画は、千葉県自然保護連合ほかと共催した「千葉県立博物館構想に対する県民提言報告書」の売り上げ金を使いました。

(運営委員・鈴木 優子)

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