千葉市稲毛区長沼コミュニティセンター事業報告
平成23年9月4日

NPOの力を施設管理へ生かす 〜長沼コミュニティセンター・指定管理者事業を終えて〜

 未曾有の今回の東日本大震災。身近な所にも未だにその被害は見受けられますが、皆様には如何でしたでしょうか?
先人の“言い伝え”を実直に守ってきた地域は被害がなかった反面、建設まだ間のない避難所が津波に遭い多数の方が亡くなったとも報道され、各市町村とも多額の資金を投入して最新の技術を持って進めていたでしょう市街地計画が、今回の大震災の前には屈してしまった感を抱きます。
 被災者の方々が、仮設住宅の入居など移転するのは地域の方々と一緒が良い、と話しているのを聞くにつけ、コミュニティを壊さずに移転する事がこれからの復興に不可欠な要素になると思えてなりません。
復興のまちづくりの中心には、公民館など公的施設が不可欠になるでしょう。施設を地域の方たち(町内会や自治会での運営も考えられます)が運営できれば、雇用環境も生み出せます。地域のお祭りなども施設が中心になれば再開も早まるでしょうし、地域色のある運営になり得ます。また、運営方針を地域の方たちによる運営委員会(名称は何とでも)でバックアップしていけば、旧住民・新住民や年代の垣根も低くなるのではないでしょうか。
 以上の事は千葉市にも言える事で、私が望んできた指定管理者の姿でした。
 しかし管理費が高額になるため、管理費に見合う資産がなければ指定管理者には選定されない現状があり、自治会や市民団体(総じてNPO)が管理者に選定されるには大きな壁となっています。世代を超え、旧住民・新住民の垣根を越え憩える・集える施設機能は、管理次第だということは、周知の事実です。JV企業を探している時に“良い管理者”は、施設を常にきれい(衛生的とは限りません)に保ち、利用者が多く苦情は少なく、施設の破損は無いに等しいことが評価される、と堂々と話された企業がありました。これでは、施設使用者だけが利用者であり、情報を受ける・待ち合わせ・新聞などを読みに立ち寄る・散歩途中や帰宅途中でのひと休み・お昼を食べる・勉強をするなどの多様な利用者は締め出されてしまいます。年齢も幅広く、様々な利用者を受け入れるには、利用者数の出し方など行政に提出する書類内容にも問題があるように思います。それでも管理者の姿勢次第でコミュニティセンター(C.C)は、地域の「縁側」に育ち、全く違うグループや個人がコミュ二ケーションをとる「縁が和」が育まれていきます。スタッフの一人がそのように望んでも、管理者の姿勢が同じ方向を見ていなければ、スタッフ自身が苦しい立場に立つことになりますし、ひとりだけでは成し得ないのです。管理者は同じ仕事場には同じ対応を求め、総じてサービスはマンネリ化していきます。
 長沼C.CのJV団体といってもBORNは、自主事業と受付スタッフ雇用の推薦のみ、との苦しい立場でした。せめて一人でもJV管理者としての対等な立場でスタッフとして仕事が出来ていたら、違った管理が出来たと悔やまれるところです。JV会議で発言は出来ましたが、個々の部署での管理はスタッフ雇用側の判断であり、また、自主事業ではBORNの意見が入れられずに会費収入で利益に繋げようとした為、2年目の自主事業が全く出来ない結果になりました。C.Cをどのように地域の中に位置づけていくか、知識や意識そして文化面での向上と発信のために大事な自主事業が、管理者の姿勢次第では、利潤を追求する講座・一方的な押し付け講座に終始してしまいます。
 NPOが指定管理者となるには、選定書類と管理書類の簡素化、そして保険に加入するのですから資産を選定に入れないなど、行政の方向転換が求められています。また指定管理者は、千葉市に税を納める企業・団体である事も重要な事に思えてなりません。

 

(運営委員 豊口恵久子 )

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