代表のぼやき

2004.10


ロール・プレイング

地域通貨まつり(10月4〜7日)、三番瀬円卓会議ふりかえりワークショップ(10月11日)と秋に予定されていた大型行事が終わった。関係の皆さま、ご苦労様でした。ともに千葉大学が会場となった。地域通貨まつりの会場は、海保さんと千葉大学の事務官との話が整っていて、私の役割は書類をサインしてしかるべき窓口へ持って行ったことだけだった。こういう地域とのつながりはなんだかうれしい。

三番瀬関連のワークショップも千葉大学・自然科学研究科の大会議室でやるのは今度が3回目。倉阪先生が主要メンバーの21世紀COE「持続可能な福祉社会に向けた公共研究拠点」からの支援もいただいた。三上さんの周到な準備や若松先生の的確なワークショップ指導のおかげで充実した一日となった。残念だったのは、漁業者や地権者など利害関係者の方々の参加が得られなかったことである。円卓会議がまさにそうだったのだが、ワークショップも本来、意見の異なる人が一致点を見つけていくための手法である。その円卓会議を評価するワークショップを行いながら、「アッそうか」と思った。私はいつも気づくのが遅い。

で、考えてみた。こういうときは、擬似的にでも誰かが例えば漁業者の役を演じてみたらどうなっただろうか。そんなことを考えたのは、たぶん、最近車つきの荷物を引きずって歩くようになり、日々バリアフリーを点検するようになったからである。

最近、あう人ごとに「どこかご旅行ですか?」と言われる。その前のリュックサックのころは「すごい荷物ですね」と言われ、「ええ、書斎をもって歩いているんです」とか「ええ、これが私の実存でして」とか答えていた。今は「ええ、ついにホームレスになりまして」である。8月にベトナムで痛くなった肩が治らないので、やむなく「ポチ」(これもどなたかの命名)に変えたのだ。

ポチを連れて歩くようになって、通勤ルートは一変した。電車の乗る位置をエスカレータにあわせるためだ。会談の前に来ると、長い斜路を行くか、鞄を抱え上げて階段を行くか、いつも迷う。斜路と言えば、工事中の西船橋駅に斜路と階段が半々の通路ができた。混んだ通路では人はなぜか自然に左側通行になる。そうなると斜路は一方の流れの人で占領される。朝はそれを逆らって行かねばならない。どのように斜路をつければいいのか考えてみたりする。また、階段を駆け上がったり下りたりするのが困難となった。前は、行く手に立ちはだかる人をうっとうしく思ったが、今は自分がその対象となった。

ロール・プレイイングの重要性を毎日のように思い知らされている。参加民主主義、討議型(熟議型)民主主義とか、新しい民主主義のかたちが語られるようになった。それが成立する要件は、自分の立場に拘泥せず、相手の身になって考える想像力である。

ブッシュが再選された。アメリカも偏狭な原理主義に染まり始めた。原理主義が新たな原理主義をよぶ構図だ。しかし「Think locally, act globally」がはびこったら、世界は真っ暗闇ではないか。私たちが地域通貨や円卓会議に取り組む意味は決して小さくない。

[訂正]前号で、佐原を舞台にしたネスカフェのコマーシャルで「山車を先頭に人々が・・・」と書きましたが、「神輿を担ぐ人々が・・・」の誤りでした。お詫びして訂正いたします。なお、佐原の大祭で活躍するのは、いうまでもなく神輿ではなく山車です。

千葉まちづくりサポートセンター代表・福川 裕一


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