代表のぼやき

2003.08


地域通貨サミットは成功裏に終わった。関心の高さに改めて気づかされるとともに「お金」のことを考えさせられた。

この8月の初め、町づくり業界がざわめいていたことにお気づきだろうか。都市再生本部が「全国都市再生モデル調査」を募集、締切りが8月8日だったのである。合計10億円を1000万円づつ100カ所に配分するというもので、秋口に採用が決まったら2月までに成果を出せというかなり乱暴な事業である。提出主体は、自治体でも自治体の推薦を受けたNPO(的団体)でもよい。都市再生は、当初から大都市偏重と批判され、昨年「全国都市再生のための緊急措置:石垣から稚内まで」として「都市再生案」の募集が行われた。その後、どうするのかと思っていたら、その第二弾がこれだった。募集から締切りまで短時間であったにもかかわらず相当数の応募があったようだ。財政難の折から足踏みしていた各地の町づくり活動がいっせいに刺激されたらしい。

この7月、「四街道市「ともに築く地域社会」提案実施事業」に審査員として参加した。堂本知事が進めるNPO立県の一環として行われている事業である。こちらは、総額500万円。30万円、50万円、70万円という三コースが用意されていて、提案者はいずれかを選択して応募する。応募は全部で14件。7月5日の公開プレゼンテーションでは、各団体の個性があふれた。同時に、地域社会が直面する問題がいっせいに取り上げられ、あたかも現代社会の縮図を見る思いであった。それぞれもっと大きな予算で組織的に取り組まれるべき課題ばかり。そのような本格的NPO社会実現へ向け、この事業はスターターとなれるのか。戦略はあるのか。

8月2〜7日、ベトナム・ハノイへ出かけた。「36町」と呼ばれるハノイの下町の調査について、現地の保存管理事務所と交渉するためである。このハノイ36町には、間口が2から3m、奥行き60〜80mという町家が約2400棟集積している。私がはじめてベトナムを訪れた1992年ころから、どう保存するかの議論が盛んに行われていた。よって各国援助の草刈り場になっている。現在の主役はEUである。Asia Urbsなるプログラムを組み、アジア各都市で改善・保存への援助を展開している。プロジェクトごとにEUの自治体をパートナーに組ませる。ハノイ36町ではフランスのツールーズが相方となっている。ヨーロッパは都市再生、そして域内での相互支援の経験が豊富だ。それを活かした戦略の見事さに絶句。こちらはわずかな科学研究費を元手にした草の根支援なのに。

お金は、生かすも殺すも使い方次第。そう言えば、本日の新聞に「21世紀COEは来年も募集」とある(今頃の新聞記事は予算獲得の打上げ花火だと思うけどね)。ここ2年の募集で思いがけず大学が活性化したからという理由である。しかしこのような申請に要するエネルギーは尋常ではない。お金はもらうのが大変なのは仕方ない。でも、配り方をもっと考えないと。

千葉まちづくりサポートセンター代表・福川 裕一


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