代表のぼやき

新代表・就任あいさつ

2003.06


図らずも、特定非営利活動法人「ボーンセンター」の二代目代表をつとさせていただくことになった。まず最初に、設立から現在まで代表をつとめられた延藤安弘先生のこれまでのお仕事ぶりに深く敬意を表するとともに、名古屋での新たな取り組みがぜひ成功するよう、心からお祈りしたい。

さて、告白すれば、私はこれまでボーンセンターの顧問をつとめさせていただいていたものの、お役に立つことは何もしてこなかった。とはいえ、私もかなり前から NPO 活動には関心があり、ぜひ実現させたいと思っていることがある。

私の活動分野は、都市計画である。中でも、歴史的な町並みの保存に長い間かかわってきた。 20 〜 30 代のころ、奈良や川越の町並み調査にたずさわって、「歴史的町並みには、現代の建築や都市計画が学ぶべき重要な原理が潜んでいる」ということを主張できる自信は得た。町並みを維持し改善していくために建物のルールを決め、守っていくことは、住んでいる人々がそのルールの意味を納得すれば可能である。問題は、生きた経済であり社会である町並みが、それだけでは活性化されないということであった。たとえば当時、その方面の専門家と計画をたてていると、よく「適切な業種の導入・配置」といった言葉がでてくる。いったい誰がどうやって実現するのか、不思議でならなかった。

んなことを悶々と考えているときに、一緒に活動していた友人や川越の人たちと思いついたのが「町づくり会社」である。そのころ、歴史的環境では、イギリスのナショナル・トラストやシビック・トラストがあこがれの的となっていた。川越の住民運動も、「町並み保存のための財団形成」をスローガンのひとつに掲げて発足した。しかし、土地の高い日本で、買い取り保存はおよそ困難で

ある。そんなときに、歴史的町並みをいかした「開発」を行う市民ディベロッパーができればいいのではないか、と思い至ったのである。土地や建物を、不動産事業を通して、それが町づくりにふさわしい形で利用されるようにしていけばいい。事例を探していくと、アメリカでは NPO なる組織がそのような活動を担っていることを知った。思えば、イギリスの「トラスト」とか「チャリタブル・カンパニー」も NPO にほかならず、近代都市計画運動の元祖となる田園都市運動周辺では、このような市民組織が重要な役割を果たしていたのである。

おかげで、私の目前には、規制だけではない都市計画・町づくりの世界が開けることになった。そして NPO ディベロッパーの実現が私の夢となった。もっとも、事業にはリスクが伴う。実現は簡単ではない。それに NPO の世界ははるかに広く深い。夢の実現に向けてひそかに牙を研ぎつつ、まずは NPO の世界を私なりに探検してみる必要がありそうである。なによりも、原稿を遅らせてボーンセンターの活動を妨害したりしないこと、これが当面の課題となりそうだ。


千葉まちづくりサポートセンター代表・福川 裕一


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