博物館提言シリーズ 3

 県民提言後の3年間の検証報告書
博物館は 市民と共に歩みだしたか?!

「千葉県立博物館構想に関する県民提言」後の3年間を検証し、「市場化」の流れの中、「市民と響きあう博物館」像を描く〜

*A4判、横書き、166ページ→WEBオーダー

 2002年、県は行財政改革の一環として11館ある県立博物館の統廃合、市町村への移管、民間委託、入場料の有料化などを検討課題として打ち出した。これをきっかけに、県民、NPO、博物館が共同で02年11月にシンポジウム「これからの博物館を考える」を開催し、その結果などを踏まえ、千葉まちづくりサポートセンターは他の市民団体などとともに2003年3月に「千葉県立博物館構想に関する県民提言報告書」(以下「県民提言報告書」と言う)をまとめた。この県民提言報告書では、県立博物館に対する「3つの提言と6つの期待」を示し、今後の博物館のあり方として「地域の課題解決に、市民とともに取り組み、市民と響きあう博物館」を提言した。一方、県立博物館では、04年4月には入場料が有料化され、「房総のむら」と「房総風土記の丘」が統合された。また、06年4月には「房総のむら」に指定管理者制度が導入される(本シンポジウム開催時点では導入を検討中)など管理運営面での組織的な見直しも急速に行なわれつつある。
 03年3月の「県民提言」後の3年間の博物館活動を検証するとともに、管理運営のあり方、博物館評価システム、地域や市民とのネットワークについて率直に意見交換し、「市民とともに歩み支持される博物館」像を描くことを目的に06年1月、シンポジウム「博物館は市民と共に歩みだしたか?!」を県立中央博物館と共同で開催した。本報告書はこのシンポジウムを記録したものである。
 1985年に県が制定した「房総文化憲章」には、「房総の緑と海と土を礎(いしずえ)とし、先人のたゆまぬ努力によってはぐくまれてきた文化を一層発展させ、誇りのもてるふるさと房総を築いていくことは、私たち県民すべての願いです」「文化の視点に立って行政を進め、心豊かな県民文化の創造を支援しよう」とされ、県立博物館が地域文化創造の拠点となることが期待されてきた。この期待は今日も変わるものではない。
緊縮財政時代、県立博物館が生き残るためには「市民と共に歩む博物館」に脱皮し、地域、県民に支持されることが不可欠である。本報告書がその一助となることを期待する ものである。

 

2007年1月
特定非営利活動法人 
千葉まちづくりサポートセンター 市民研究所
家永尚志、川本幸立、栗原裕治、鈴木優子

<目次>
本編
T、シンポジウム
 博物館は市民と共に歩みだしたか?!
 〜3年間を検証し「市場化」の流れの中、「市民と響きあう博物館」像を描く〜

 ■挨拶:福川裕一(千葉まちづくりサポートセンター代表 )
       岩下豊久(県教育庁教育振興部次長 )
      

 第1部 報告                       
  ・本シンポジウムに至る経緯と論点整理(栗原裕治 :千葉まちづくりサポートセンター)
  ・新たな博物館ネットワークの構築に向けて(上野純司 :千葉県教育庁文化財課学芸振興室室長)
  ・千葉県のフィールドネットワークの現状と今後(田畑貞寿:日本自然保護協会理事長)
  ・伊能忠敬記念館での取り組み(青木 司 :佐原市伊能忠敬記念館学芸員)
  ・3年間の市民・NPOと博物館の協働と事前アンケート報告(川本幸立:千葉まちづくりサポートセンター)

 第2部 討論・意見交換
  パネラー :上野純司、田畑貞寿、青木 司、川本幸立
  コーディネーター:栗原裕治

 ■資料
  ※シンポジウム資料「博物館は市民と共に歩み出したか?!」 
  ・03年3月「これからの千葉県立博物館構想についての県民提言」概要   
  ・3年前のシンポジウム「これからの博物館を考える」の論点整理        
  ・新たな博物館ネットワークの構築に向けて・伊能忠敬記念館での取り組み
  ・この3年間の「博物館と市民・NPOとの協働」などについて千葉県立博物館活動に関する事前アンケート回答内容報告        
  ※シンポ案内とアンケート調査票

U、千葉県における「市民と響きあう博物館」改革・この3年間の総括
 1、市民との協働
 2、地域課題解決(まちづくり)への取り組み
 3、フィールド・ミュージアム
 4、管理・運営
  @入場料の有料化
  A統廃合、市町村への移譲
  B指定管理者制度
  C博物館協議会


資料編
千葉県博物館改革の状況
 1、千葉県立博物館データ(平成15年〜平成17年)
 2、県立博物館改革の経緯
 3、房総のむら指定管理者制度導入の経緯
 4、県立博物館への評価制度導入の経緯
 5、市民との協働

全国の博物館改革の動き
 1、概観
 2、博物館改革
 3、指定管理者制度
 4、評価制度
 5、市民との協働

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