博物館提言シリーズ 2

 「新世紀において千葉の博物館が生み出すべき価値の検討と評価尺度づくり」報告書
*A4判、横書き、238ページ→WEBオーダー

(目次紹介)
 本編(92頁) 
     はじめに、序章「本事業の目的と方法」、
     第1章「博物館の価値・役割と評価尺度の考え方」
     第2章「入館者・利用者の立場からみた博物館サービスの実態」
     第3章「博物館が生み出すべき価値の洗う出し」
     第4章「博物館のサービス提供プロセスの現状調査」
     第5章「博物館の役割と評価尺度の試作」
     おわりに

 資料編(146頁)
     資料1「博物館訪問調査」
     資料2「各博物館ワークショップ」
     資料3「博物館ネットワーク ワークショップ」
     資料4「千葉県立中央博物館経営品質報告書」
     資料5「博物館の役割及び評価に係る資料」

(執筆)家永尚志、川本幸立、栗原裕治、鈴木優子、浜口 勤
 

@本評価尺度はあくまでも試案である。今後各博物館においてはミッションそのものの問い直しも含めてよりよい評価尺度づくりに挑戦していただきたい。その場合、市民参加で行うべきであることは言うまでもない。

A地方自治法の一部改正により、公共の施設は管理委託制度から自治体が指定する機関に管理を代行させる指定管理者制度に移行する。公立博物館も例外ではない。NPOによる博物館管理も可能となり、そうした管理の担い手の問題も含めて、博物館のあり方について考えていく必要がある。
今まで「自治体の管理監督」=「公共性の保障」とされ管理実態が評価されることは稀であったが、指定管理者制度導入をきっかけに公共施設全般で公共性を担保する管理の評価基準が求められることになる。その意味でこの博物館評価検討作業がその魁として活用されていくことを期待したい。

B市民が博物館の評価活動に参加するためには、評価し得る情報の提供が博物館・行政側から必要不可欠であり且つ博物館評価に関して学習し理解を深める場も併せて設ける必要がある。

ところでまちづくりのNPOである私たちが、博物館の新しい価値の検討と評価尺度づくりという難問に挑んだ理由は、

a 千葉県が「21世紀型の千葉デモクラシー」「NPO立県」を掲げ、徹底した情報公開と県民参加のもとで、県民による主体的な政策提言型の県政運営とNPOによるアドボカシー(政策提言)が期待されていること

b 私たちも参加して作成した「千葉県立博物館構想に関する県民提言 報告書」(2003年3月、「博物館構想に関する県民提言」作成委員会)で、「博物館の役割を確認しかつ評価システムを構築すること」が県の博物館行政の課題の一つであることを指摘したことから、次のステップとしてこの課題に取り組もうということになったこと

c 前項の報告書作成作業を通して、評価尺度づくりにおいて県及び博物館関係者との協働が期待できたこと
による。

3つの異なったアプローチ〜「博物館訪問調査」、「ワークショップ」、「経営品質賞」〜による調査、及びそれらの分析作業、評価尺度づくりは6ヶ月間という時間的制約の中で文字通り手探り状態で行われた。本来は、今回の成果を使っていくつかの博物館の評価作業を行い検証した上で公表すべきものであるが、時間的な事情がそれを許さなかった。それ故、検討不足の点が多々あると思われるが、今後実際にこれらを活用する中で、改善、改良されるものと考えている。私たちも次のステップとして是非各博物館の評価作業を行いたいと考えている。
さて、地域の課題や価値、地域文化の継承や再生に取り組むことはまちづくりそのものである。その意味で、市民との協働による博物館の評価作業はまちづくりの一つと言える。私たちまちづくりNPOが取り組む意義もそこにあると思う。
 最後に、ご多忙な中、ワークショップにご参加くださり、貴重なアドバイスをくださった多くの市民、NPO、博物館、県教育庁の関係者の皆様に厚く感謝申し上げたい。

2004年3月       
                      特定非営利活動法人
                      千葉まちづくりサポートセンター
                                市民研究所
                         家永尚志 川本幸立
                         栗原裕治 鈴木優子
                         浜口 勤
 



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