632.大沢真一郎さんが逝去。2013/03/23掲載) 

 京都精華大名誉教授(社会学専攻)で、元「思想の科学」の編集長だった大沢真一郎さんが、本年2月26日に肺炎のために死去されました。76歳でした。葬儀は26日に京都で行なわれました。深い弔意を表します。記載が遅くなりましたことをお詫びします。
 大沢真一郎さんが雑誌「思想の科学」(96年休刊)の編集長を務められたのは、1972〜74年でした。この関連での大沢さんの活動については、いずれ「思想の科学」関係の方が多く書かれることと思います。ここでは、大沢さんが、市民運動との関連で、60〜70年代に重要な活動をされていたということを強調しておきます。
68-6-15sukiyabashi.jpg (17280 バイト)
 1968年4月、
阿部知二、小田実、古在由重、新村猛、日高六郎さんの5人から、「ベトナム反戦6月行動」についてのよびかけが発表され、6月15日には、日比谷野外音楽堂で「アメリカにベトナム戦争の即時全面中止を要求する6・15集会」が行なわれ、1万2千名の参加者が東京駅までデモをし、途中、数寄屋橋交差点で20分坐りこみも行ないました(右の写真、クリックすると大きくなります)これを機会に以下数年間、6・15など、大規模の市民運動の共同行動が続くのでした。この最初の「ベトナム反戦6月行動」の事務局は、飯田橋にあった「国民文化会議」〈日高六郎さんが代表者)の事務局の中に置かれました。そして、その事務局長にあった大沢真一郎さんが、大変な努力を続けたのでした。この状況は、大沢さんの「新しい〈民〉のエネルギー――『六月行動月間』の提起したもの――」(『週刊読書人』1968年7月15日号、後に大沢真一郎『後方の思想』261ページ)に具体的に報告されています。以下をクリックしてぜひご覧ください大沢真一郎「新しい〈民〉のエネルギー」
 大沢さんの著書としては、
◯『後方の思想―あるいは長征への出発』(社会評論社、1971年11月刊) 廃刊ですが、amazonでは中古書で249円とか556円というのもあって、ぜひお求めされたらいいと思います。 本書の内容は以下のとおりです。

@
現代における組織変革の視点
集団の戦後思想史・序
戦後サークル運動集団の到達点は何か
  ――「サークル村」の展開偶閑過程に即して――
A
日本のなかの第三世界
在日朝鮮人の提起するもの
  ――インターナショ望ナリズムの出発点だ――
金嬉老にとって教育とは何か
金嬉老裁判のなかの民衆意識
ハラキツタチョウサタノム」キム ヒロ
教育における辺境を問う
戦後ナショナリズムの視点
B
労働運動の自立の方向
  ――四・一七スト前後――
横須賀の原子力潜水艦阻止闘争のなかで
反戦ストライキ論
 ――解放戦争と連帯は可能か――

「羽田デモ」とマスコミの退廃
新しい<民>のエネルギー
  ――「六月行動月間」の提起したもの――
        (本欄からPDFファイルで読めます。)

労学連帯の可能性
  ――全共闘学生と国鉄労働者の討論――
大衆運動の新しい質
デモンストレーションの復権を
C
安保闘争以後
  ――学生のゆくえ――
ひとつの青春像
  ――『獄中記−異常の日常化の中で』評――
戦後思想の再検討
  ――『厳粛な綱渡り』評――
青春の構造
  ――『されどわれらが日々――』評――

 


遊撃の思想―長征の途上にて』(行路社、2000年5月刊) 2,730円
◯『総括安保報道―戦後史の流れの中で』 (現代ジャーナリズム出版会、1970年) 小和田次郎との共著。これも、amazonで中古書で1,390円があります。

ニュース欄先頭へ ホームページ先頭へ