594.ベトナム戦争の優秀ドキュメンタリ『ハーツ・アンド・マインズ』1月23日にNHK で放映。2011/01/21掲載)
 『ハーツ・アンド・マインズ/ベトナム戦争の真実』(1974年米作品)は、さまざまな証言や取材映像、ニュース映像、戦意高揚映画等のフッテージを駆使して、ベトナム戦争の実像に迫り、1975年(第47回)アカデミー賞最優秀長編ドキュメンタリー映画賞を受賞した優秀ドキュメンタリだ。この映画は、1975年9月5日、NET(現テレビ朝日)のスペシャル枠で一度だけ放映(監修:加藤周一)されたことがあり、また昨年、ベトナム戦争開始50年として、一部映画館でロードショーされた。
 この映画が、1月23日(日)の午後10:50〜午前0:42に、NHKのHi-Vision放送で放映される。この映画の予告編は、「YouTube」で「
ハーツ・アンド・マインズ」と検索すれば見ることが出来る。まだご覧でない方はぜひ。
 以下は、『市民の意見』120(10年6月1日号)に出た本野義雄さんの映画紹介の文である。

  ベトナム戦争の本質を衝く

◆終結して35年、すでに歴史の領域に入ったベトナム戦争の本質を知るには、「ハーツ・アンド・マインズ」は必見のドキュメンタリーだろう。今日見ると米国歴代大統領、国防長官、最高司令官の露骨な冷戦思考と、兵士から上層部まで一貫した東洋人に対する人種偏見が、とりわけ目立つ。「東洋では人口が多いから生命の値段が安くなる。生命は重要ではないのだ」というウェストモーランド司令官(当時)の発言の直後、肉親の死を嘆くベトナムの人びとの映像が痛烈だ。ここだけでなく、随所で生き延びるのに必死な民衆の表情が胸に突き刺さる。
◆世界最強・最先端の軍事力を投入しても米国が勝てなかったのはなぜか、その答はすべてこの映画にある。だが、終りに登場した元大尉の発言どおり、「アメリカ人は見ないようにしている」。今世紀になってまたも同様な戦
争に突入した米国支配層は、自国が生んだこの秀作を未だに顧みようとはしない。これだけの犠牲を払った歴史の教訓を無にする国の未来は、危うい。……

 『ハ−ツ・アンド・マインズ/ベトナム戦争の真実』(デジタル修復版) 監督/ピーター・デイヴィス 製作/バート・ シュナイダー、ピーター・デイヴィス 撮影/リチャード・ピアーズ 原題Hearts and Minds 1974年アメリカ映画112分


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