495.  高橋武智さんの新著『私たちは、脱走アメリカ兵を越境させた……」 のご紹介とお奨め (2007/12/05掲載 )

 高橋武智さんの新著『私たちは、脱走アメリカ兵を越境させた……ベ平連/ジャテック、最後の密出国作戦の回想 』が11月はじめ、作品社から出版されました。定価2,400円+税。
 この本に「序文」を寄せた鶴見俊輔さんは、以下のように本書を紹介しています。

……脱走アメリカ兵を受けとめ、隠し、やがて国外に脱出する機会をつくる……。その実際の活動は、やがて日本人以外の人びとの協力へとすすみ、ヨーロッパの第二次世界大戦下の抵抗運動との接触にみちびく。……著者・高橋武智は、この段階で、活動の主な担い手となった。……その担い手を支えた思想は、どのような思想か。それは、担い手となった著者が、この本で自分の言葉で語る。それは、1965年に始まったベ平連の活動が、1930年代のヨーロッパの抵抗運動と、どのように結びついたかの物語である。

 また、著者、高橋さんは、本書の出版にあたって、「友人・知人の皆さまへのご挨拶」と題して、以下のような文を公表されているのでご紹介します。

 
 ご無沙汰しておりますが、寄る年波にも負けず、どうやら翻訳の仕事と、リュプリヤナ大学での集中講義をつづけております。
 さてこのたび、小著、『私たちは、脱走アメリカ兵を越境させた……−べ平連/ジャテック、最後の密出国作戦の回想』が、10月31日に作品社から刊行されました。鬼面、人を驚かすタイトルですが、最近の読者は内容がストレートに表現されていないと、店頭で本を手にとってくれないそうで、こうなりました。
 今は昔、ベトナム戦争のさなか、戦場を逃れた米軍兵士が日本で脱走しました。市民のあいだに、彼らをかくまい、安全な海外へ逃すネットワーク=ジャテックが生まれたことは皆さまもご承知でしょう。
 1967年、そのきっかけとなった米空母「イントレビッド号からの四人」の脱走成功がべ平連の記者会見で公表されてから、この11月でちょうど40周年になります。
 ジャテックによる彼らへの支援活動は、71年夏まで3年半のあいだ、シコシコとつづけられました。
 途中で米情報機関員が脱走兵を装って潜入したため、それまでの「ソ連ルート」は絶たれ、最後の二年半は「鎖国状態」を余儀なくされました。
 運動自体は、米国人活動家の応援を得て、隊内の反戦兵士と協力する「米軍解体運動」へ重点を移し、ベトナム人民の勝利と解放にいささかなりとも貢献できたと信じております。
 しかし、脱走援助運動に締めくくりをつけなければなりませんでした。小著は、この「ジャテック最終作戦」の準備から実行までを詳細に報告したものです。
 ことがらの性格上、今日まで伏せられてきましたが、いま記録を残しておかなければ、人々の記憶から永遠に消えてしまうという想いから、二年前にあえて執筆に踏み切りました。
 これによって、脱走兵援助運動を初めから結末までトータルに考えていただくことができるようになったわけです。
 お読みいただければお分かりのとおり、この作戦はいかなる国家の力も借りませんでした。パリ「五月革命」に象徴される時代の空気が有利に働きましたが、とりわけ長い抵抗の歴史を継承してきたヨーロッパの市民たちから、無私無償の援助を得ることがなければ、決して実現をみなかったでしょう。
 その具体的な細部こそ本書の主要部分ですが、作戦の時空を超える側面についても考えをめぐらせてみました。
 なお個人的には、本書は私が生きた証となるでしょう。
 本来なら、お贈りしなければならないところですが、登場人物はじめ関係者が多く、それも叶いません。
 何はともあれ、読んでいただければ幸いです。もし共感を抱いていただければ、周囲の方々にもお勧めいただきたく、この段特別にお願い申しあげます。当時を知らない若い読者にも読んでもらえるよう、時代背景に一章を割いたほか、多数の注記を付しました。
 まずはお手にとっていただきたく、これをもってご挨拶に代えます。
 2007年10月25日

 

  本書は、ベ平連の運動、あるいは脱走兵援助活動について関心のある方には必読の文献です。ぜひご一読くださるよう、お奨めします。

   高橋武智さんを講師とする脱走兵支援運動についての集まり
 なお、市民の意見30の会・東京では、高橋武智さんを講師として、「ベトナム戦争時の米脱走兵支援運動」と題する読者懇談会(希望者は誰でも参加可能)を、12月7日(金)後午後6時半から、東京・水道橋の「たんぽぽ舎」で開催する。参加費500円。たんぽぽ舎の電話は03-3238/-9035. 地図ウェブは、http://www.jcan.net/tanpoposya/info/map.htm 
 また、市民の意見30の会・東京の機関誌『市民の意見』No.105(12月1日号)には、道場親信さんによるこの高橋さんの新著の書評が掲載されています。

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