切り絵作家の金子静枝さんのすばらしい作品集が刊行されました。
  「ピースボート」にご夫妻で乗り、世界の各地を回った際のスケッチや切り絵を中心に、そのほか金子さんが旅をされた中国やベトナムなどを含む多くの切り絵が満載された本です。
　金子さんは、一昨年春、ベトナムのホーチミン市にある戦争証跡博物館に、ベ平連など、日本のベトナム反戦市民運動の資料を届ける訪問団に参加された方で、その際のことも、この『作品集』には描かれています。
　右の切り絵が戦争証跡博物館の庭の情景で、そこには、次のような文が付されています。

「ベトナム
　　ホーチミン
　ホーチミンには米軍機が放置されたままの1973年に行ってから縁あって何回も訪れた。2002年には戦争証
跡博物館へ日本のベトナム反戦運動の展示をするという元べ平連の趣旨に賛同して夫の金子徳好が「アメリ
カはベトナムから手を引け」のゼッケンをつけて8年間一人デモをした写真と古ゼッケンを持って病中の徳好に代わって行った。
　博物館にはブーゲンビリアの大木が日陰を作っている。」

　ここにあるように、『ゼッケン8年』で有名な金子徳好さんとご夫婦で、徳好さんは、今、脳梗塞のリハビリ中ですが、徳好さんも 息子さんの映画監督、金子修介さんとともに最後に小文を載せておられます。

　このベトナム訪問団は、ソンミ村も訪れ、1968年3月の大虐殺事件の僅かな生存者から生々しい体験を聞いたのですが、そのときのスケッチも収められています（ 左中図）。
　　
　作品集の中の切り絵は、どれも美しい、印象的な作品ばかりです。左下は「ベトナムの小学生」、右は「タイ　マッカサン駅の大木」と題する切り絵です。白黒のデッサンを除いては全ページカラー印刷80ページの本で、一度ページを開いたらなかなか離せないほどです。ぜひお求め下さるよう、お勧めします。　
　『切り絵・スケッチ　西から東へ　金子静枝作品集』　第三書館刊　定価2,000円＋税　です。