287. 3月8日の反戦行動 についての井出孫六さんのお便り (2003/03/19 掲載 )

  作家の井出孫六さん(ベ平連時代には、あの『週刊アンポ』の編集長)から、以下のようなお便りと、『信濃毎日新聞』に載せられた文のコピーを送っていただきました。私信ではありますが、了解を得られると思いますので、皆さんにご紹介します。

吉川大兄
 ごぶさたしております。先日はデモのご案内ありがとうございました。久しぶりに日比谷−新橋−八重洲口まで歩きました。左のコラムに記したように、ぼくの後ろの一団の若もののシュプレヒコールで、胸に痞えていたものがすっーとなくなっていく爽やかな午後のひと時でした。
 会場でお探ししましたが、お姿が見えませんでした。  お元気で。        井出 生

信濃毎日』 3月13日夕刊 今日の視角
ならずものだよ…       

 『朝日新聞』に、ロケットのような頭をしたのと、あんパンのようなのが登場する「地球防衛家のヒトビト」という四コマ漫画がある。ある日、二人はイラク戦争の雲行きを心配し、反戦集会に行こうとする。デモなど参加したことのない二人は、電話予約しなくてよいのかとか、お金は幾ら持っていったらよいのかなどと気をもみながら、ともかく出かけることが先決と家をとびだすのだが、外はまっ暗闇で途方にくれる。
 この漫画を見て「私もイラクへの戦争に反対です。でも、どこへ行ったらいいか。同じような思いの人も多々いると思います」という読者の声が三月五日の同紙夕刊にとりあげられており、さらにかこみ記事で八日に日比谷公園で集会があり、そのあとパレードがあると告げられていた。 
 「地球防衛家」の煽動にのせられて、三月八日わたしも日比谷公園に久しぶりに出かけてみることにした。前日までの嵐は去って陽光がまぶしい。定刻をわずかに回っていたため野外音楽堂はすでに満員札どめになっており、あぶれた人びとは公園のあちこちで小集会を開いていた。そこに集った四万の人びとの多くは労組や政党を通じての動員ではなく、「地球防衛家」二人組のような市井の個人であるらしいことが歴然としている。
 白髪の老夫婦がいる。子ども連れの若夫婦や、仲間と誘いあった若い女の子の群れもいる。南無妙法蓮華経の幟(のぼり)もあれば、神父の集団らしきものもいる。NO WAR!とかSTOP the WAR on lRAQ!とかPeace Walk!などという横文字のプラカードが多く、五メートルもあるような横断幕の色調はセミプロの作にちがいないと思わせるものがあって、観て楽しい。
 銀座に向けてのパレードが始まり、わたしの後ろにはゲイバーから抜けだしてきたような若ものの一団がいて、ロック調のシュプレヒコールで沿道の笑いと拍手をさそい、わたしの留飲までさげてくれた。
 ならずものだよブッシュ
 フロリダ速挙は怪しいぞ!
 エンロン疑惑も怪しいぞ!
 アホでマヌケなブッシュ
 侵略者だよ!ブッシュ、ブッシュ…。
                           (井出 孫六)

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