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オタワ条約の発効にあたって
地雷廃絶日本キャンペーン代表:北川泰弘

 来たる3月1日にオタワ条約(対人地雷の使用、貯蔵、生産及び移譲の禁止並びに廃棄に関する条約)が日本を含む45の国々で発効します。昨年の10月1日以降に条約を批准した国々(99年2月5日現在で19ヶ国)では、それぞれが批准した月の6ヶ月目、すなわち4月1日以降の月の1日に次々と発効します。意外と知られていないのは、オタワ条約を履行するために各国が立法した国内法がその時に同時に発効する事です。

 我が国では「対人地雷の製造の禁止および所持の規制等に関する法律」(平成十年法律第百十六号)が発効します。これはJCBLのキャンペーン活動に署名、募金その他の形でご協力頂いた皆様のお力で実現出来たと言ってよく、この機会に厚くお礼を申し上げます。

 日本はその法律に従ってオタワ条約で定められた条項を履行する訳ですが、完全に履行出来るかについては幾つかの疑問点が残っています。

 JCBLは昨年9月に国会でこの法案が審議される際、法案に対する疑問点を列挙して各政党に送り、国会における法案審議の段階で質問をしこの法律によりオタワ条約を履行出来るとの政府側の答弁を引き出して頂きました。しかしながら、JCBL会報第7号に目加田説子が報告したように、条約の履行段階で明らかにしなければならない問題点が幾つか残っています。

 オタワ条約と国内法が3月1日に発効しオタワ条約と国内法が3月1日に発効しても、これで地球上の対人地雷が無くなる訳ではありません。全面禁止はこれから始まるのです。

 例えば、自衛隊は約100万個の対人地雷を持っていますが、除去訓練に必要な数以外の約98万個をこれから4年以内に廃棄しなければなりません。部品を含めて地雷の生産、貯蔵、輸出も禁止しなければなりません。日本政府は「対人地雷犠牲者ゼロ・プログラム」として、地雷の除去活動、除去技術の開発、犠牲者支援の3分野に1998年1月からの5年間に100億円の援助を行う事を公約しています。

 地雷問題で民間を代表するNGOとして、JCBLは政府がオタワ条約締約国としての義務と、「対人地雷犠牲者ゼロ・プログラム」の公約を順調に実行しているかをチェックして、必要があれば政府に提言し、ICBLはじめ各国に伝えるという大変な仕事が残っています。

 来たる5月にはオランダのハーグで、「1899年ハーグ第一回国際平和会議」の100周年記念行事が行われます。核兵器廃絶を含む軍縮、国際人道法の強化、紛争の平和解決、を目指す「ハーグ平和アピール´99」運動です。当然、この運動の中に「対人地雷の全面禁止」も含まれます。

 JCBLとしてはハーグに出掛けて行ってその行事に参加する余裕はありませんが、今年はそういう年である事を念頭において今後の活動を続けます。特に、地雷除去前後の「住民の居住」と「地雷除去後の地域開発」の関連や、紛争が解決されない限り地雷の埋設は続くという観点からの「紛争の平和解決」の問題に注目して行きたいと思います。